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War Chronicle of Toskiel(紺碧の空)完
:動揺
「バカな! カリギュラ様は、確かに完全な奇襲だとおっしゃっていたのに」
トスキール征伐特命部隊隊長、レヴァリーは狼狽していた。
「隊長、落ち着いてください! 敵は取るに足らぬ数です」
「よし、わかった。突撃だ!!」
総数約八万の装甲歩兵が、総数約三百の海兵隊に向けて谷へなだれ込む。
「隊長殿! おかしいです。ここには本来ヴェスト川が流れているはず……!」
「馬鹿者、今は乾期だ。干上がっていたとしても不思議ではあるまい」

「さてさて、やっこさんたちまんまと引っかかってるぞ」
「おい、ラインハルト! この後ここは濁流に飲まれるんだぞ、聞いているのか!?」
「ああ、そうだ。お前も死にたくなかったらこの上に乗りな」
前線では既に斬り合いが始まっている。すると、低い地響きのような音が聞こえてきた。
「なんだ、なんだ?」
帝国軍の兵士に動揺が走る。
「どうした、お前たち! 攻撃を続けろ!」
「隊長! やはり変です。あの敵は海兵隊です!」
「なんだと!? まさか……」
「後ろを見ろぉ!」
轟音とともに濁流が迫っていた。
「おのれ、奴等は囮か! 皆の者! 谷を登れぇ!」
ところが、斜面の茂から何千人もの銃士隊が姿を現したのだ。
「しまった!」
「撃てェ!」
大混乱である。そもそも八万もの軍勢をいきなり動かそうなどというのが無理な話で、何が起きているのか全くわからずにうろうろしてる奴も沢山いたのだ。


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