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War Chronicle of Toskiel(紺碧の空)完
:増援
 トルス郊外南部のラドール平野に、帝国軍の前線基地があった。西トグレア方面軍司令が煙草を燻らせている所へ、レヴァリーが入室して来た。
「レヴァリーか。今朝から、何やら騒がしいな」
「本部から援軍が来たとか」
カリギュラはヤッケを羽織ると、煙草をくわえたまま天守閣の屋上へ出た。見ると、十数隻の大きな帆を備えた空中砲台が係留されている。
「ほう、爆撃艦か。あんな代物をよこしてくるとは、本部は本気だぞ」
「一気に片付けろということでしょうか」
そのとき、一人の男が砲台から颯爽と降り立った。長髪をなびかせ、いかにも気障な雰囲気をふりまきながら現れたのはローゲン空軍のエース、ルフトツークである。
「君が西トグレア方面軍の司令かい?ぼくは第一軍空中砲台部隊の隊長さ。この僕が来たからにはもう大丈夫! しかし、七万もの兵を一万足らずの敵に全滅させたというのは本当かい? 全く、どこの阿呆の仕業だろうね」
隣で張本人のレヴァリーが小刻みに震えている。
「おじさんたち無口だね。もう少し、この僕を見習いなよ! そんなんじゃ兵たちはついてこないぞ〜」
ルフトツークは去った。巨大な空中砲台が風を受けて頭上をなめるように飛んでいく。カリギュラはレヴァリーに言った。
「出撃させろ」
「えっ……今ですか?」
「構わん。勝っても負けても、せいせいするだけだ」
「そうですね」

 一方、コスク城。暗い地下牢に二人の男がいた。
「俺を……俺をこれからどうするつもりなんだ?」
「言ったろう。すぐに殺すつもりはない……ところで、お前、オレの兄……ラフィレイドを殺したのは誰か知っているか?」
「……」
裏切り者の顔は引きつっている。
「知らん……本当に知らないんだ」
「まさか、お前が……」
「違う、違う! 俺じゃない。本名はわからないが、コードネームはマグニサイドだった。それ以外は本当にわからん」
軽蔑の眼差しを向けると、公王は何も言わずに去っていった。


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あきゅろす。
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