[携帯モード] [URL送信]

War Chronicle of Toskiel(紺碧の空)完
:懸念
 さて、コスク本閣。最初の閣議が執り行われていた。
「陛下、どういうおつもりでしょう。このような若造などを陸将に」
海将のラインハルトが詰め寄る。相手の陸将がこれでは、自分がなめられているようなものだとでも言いたげだ。
「若造とはなんだ! 僕はただの餓鬼なんかじゃないぞ」
いまにも殴りかかりそうな二人を抑えて、宰相はなんとか持ち前の風格で閣議らしい空気を作りだした。
「まあまあ、そのような事でけんかをしている場合ではないぞ……陛下、ローゲン帝国が迫っています」
「わかっている。何度聞かされた事か……」
「ですから、陛下は対応策という物を」
言いつつも、ナイファーはとるべき道は一つだと知っていた。
(戦だけはするまい……)
トグレア連邦の中でローゲン帝国に最初に反旗を翻した国、イースラークを見れば結果は明らかである。男たちは皆殺しにされ、田畑は焼かれ、首都近辺は砂漠になってしまった。しかし、若きフェルドランスの思惑は正反対であった。彼にしてみれば、自らの力を試す前に死ぬ事ほど恐ろしい事はないのだ。好戦的な面では、ラインハルトもまた同じである。

 神暦一〇〇九年八月十五日。ネイツ王国は完全に消滅し、トルスと言う帝国の一地方となった。その翌日、恐れていたことが起きた。帝国の使者がやってきたのである。


[*前へ][次へ#]

2/3ページ

[戻る]


あきゅろす。
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!