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War Chronicle of Toskiel(紺碧の空)完
:出撃
さて、一ヶ月の間、両軍に主な動きは見られなかった。まるで、嵐の前のなんとやらである。
コスク城の隣、陸軍本部。ジェネラルポーンというボードゲームでフェルドランスが遊んでいると、大柄な男が入ってきた。
「フェルドランス……『様』! 準備が完了しました」
この男、次期陸将最有力候補であった、パイクスタッフである。見るからに厳つい甲冑を常に身に着け、その肉体美は見事の一言。
しかし、フェルドランスだけは全く脅しが利かない。
「あ、そう。サンキュ……ところでさ、今君ならどんな手を打つ?」
「一体、何をしていらっしゃるんですか? 帝国は今にも攻めてくるのですぞ」
「そうですよ……やっぱりだめですよこんな事してちゃ」
嫌々相手をさせられている部下のベーオウルフが言う。
「わかった。よ〜し、行くぞ!」
神暦千九年九月二十一日、帝国軍はついに動き出した。諜報員の情報によれば、カラズ・ランドセスにトスキールの全軍は集結するらしい。さらに、ランドセスの偵察兵は大量の軍旗を目撃している。
「ふふふふ……あの馬鹿どもが、慌てふためく姿が目に浮かぶようだ。全軍をアイフェル渓谷へ出撃させよ!」
総数約八万人の大部隊である。トルス南部の前線基地を出発した帝国軍は、一路トスキールを目指した。
その頃、フェルドランス率いるトスキール軍はネイツ山脈西端のアイフェル渓谷へ到着していた。
「エルトカレスの農民が、ローゲンの尖兵を目撃したらしいです」


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