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War Chronicle of Toskiel(紺碧の空)完
:発端
「ラフィレイド様が亡くなられた……!」
「公王様が、か?」
「何でも、暗殺されたそうだ」
「恐ろしい……」
「やはり、この公国も終わりか」
コスク城内では、不穏な空気が流れていた。もはやラフィレイド暗殺の噂は国中に知れ渡っていて、さらに、その跡継ぎたる弟王の愚鈍さも世に知る所となっていたのである。
「俺が、公王……マジで?」
「そうでございます。ヴェスヴィオス様」
この茶髪でやる気のなさそうな若者が、トスキール家の末裔である。一部の人間はこの男が暗殺を企てたのではないかとも考えていた。
(しかし、時期が悪すぎる……)
宰相は思った。今、トスキール公国は隣国のネイツ王国が侵略された事件で大混乱となっていたのである。
おそらく、この暗殺の背後にいるのはローゲン帝国……ネイツを侵略した軍事国家である。大陸南部で次第に台頭し始め、山脈を越えてやってきたのだ。かつて連邦を形成していた諸国であったが、帝国の猛攻の前に崩壊し、ネイツ王国なき今はトスキールを残すのみとなっていた。
「おい、アルバート」
「どうなさいました、陛下?」
「着冠式の短縮は、できないか……?」
「そ、それは無理です。規則ですから」
ヴェスヴィオスはぶすっとむくれて肘掛けを弾き始めた。
ラフィレイドならあるいは、公国を救えたかもしれない。彼は政治的にも軍事的にも優れていたし、まあ、それがもとで殺されたのかもしれないが。


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あきゅろす。
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