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マグの足跡(千葉)完
そしてエクストラステージへ
その翌日。
王女達との別れの挨拶をして、マグは宮殿を発った。
その際、王女からは何と手作りのクッキーを貰った。
そうか、もしかして俺に気が…ないない。

その後、マグはチマチーカの界隈にある、あの薄暗い通りへと向かった。
「よう、ニイちゃん」
「おう」
あの、中年の男に会うためだった。
ヤマテノの情報をくれた男は、またあの石段の上に座っていた。
前に見た時と変わらない光景だった。
「とりあえずお礼は言っておくよ。あんたのおかげで助かったぜ」
「ヘヘ、どうも…」
相変わらず、どこか不気味な男だ。そう思いマグは本題を切り出す。
「…そういや、何であんたはヤマテノのことを知ってたんだ? それが気になったんだ」
男は少しだけびっくりした様子であぁ、と言った。
そしてニヤニヤしながら言う。
「女神のことを知っているからだよ」
「…!!」
「意味が分かったのなら、ニイちゃんは知ってるな。
女神が何をしたのかも…」
「…まぁ…そうだけど」
ちょっとマグは戸惑い気味であった。
考えてみれば、あんなに詳しく事情を知っているわけだ、
男が女神と知り合いであってもおかしくない。
でもイメージが結びつかない…。
「女神様はな、人を疑うことを知らなかった。ただそれだけ…そうは思わないか?」
「…何であんたは女神のしたことを知ってるんだ?」
やや意味を取りかねる男の質問を無視して、マグは質問をぶつけた。
男はそれでもにやけたまま、ちょっとの間をあけ、こう答えた。
「…答えは簡単、俺は女神の犯してしまった最大のミス
―――その行いを見ていたのさ」
「………偶然?」
返ってきた答えは、マグの予想したものよりも遥かに単純なものだった。
「それで女神は、何でも情報を提供してくれる俺の女神様になった。
女神は何でも知ってるからね。おかげで俺も何とか食っていける…
もっとも、女神に会うことはあまり叶わないけどな」
「目撃したのをダシにして、女神から情報を仕入れて、それを売ってる……ってわけか」
「そうだな」
男は自嘲気味に笑った。
男が自分にあの情報をタレ込んだのには、もしかしたら女神への同情や、
償いといった意味も込められていたのかもしれない。…あくまで推測の域を出ないが。
「…………そうだ、これを持ってくといい」
ふいに、男がそう言い、懐から何かを取り出す。
「…?」
「みんなにナイショだよ」
男がマグに手渡したそれは、ヨド国の地図―――それも、
×印の刻まれた宝の地図であった。
今再び、マグの旅が始まろうとしていた。

                                 (完)

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あきゅろす。
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