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天と地と、その狭間で(禮晶) 完

「おい」
何だ五月蝿い。…ったく、これも全部あのバカ兄のせいだ…
「おーい」
しかし、やけにガキっぽい声だな。こんな声の奴、邸にいただろうか?
「………っ!」
其処で青は布団を勢いよくはねのけた。
「ぶわっ」
甲高い声ーやはり子供、声変わりする前の少年の声だ。
刺客か?いや、暗殺対象に普通『おーい』とは言わないだろう。ただの馬鹿か。
枕元に置いてあった槍で布団を突き刺そうとした時、
「…仮にも神様に何て事するんだ、お前は」
先程の子供っぽい声とは打って変わった冷ややかな声が背後から聞こえた。
短刀が頸動脈の辺りに当てられている。
「此処でこの首を掻き切っても良いんだがな、お前の兄に免じて許してやる」
「は?」
今、この子供、何と言った?……兄?
「兄とは、蒼兄上の事か」
「他に誰がいるんだよ。隠し子でもいるってのか」
呆れた様な声と共に短刀が引っ込められる。
そこでもう一度槍を振るっても良かったのだが、青はしなかった。…否、出来なかった。
この少年、ただ人ではない。
「……お前は、兄上が見ている様なモノ達なのか?」
「へぇ、意外と勘は良い様だな。流石は双子の弟。そうだ、所謂人ならざるモノという訳だ。」
顔を強張らせた青に翡は笑った。
「首を掻き切たりしないから安心しろ、お前とちょっと話がしたいだけだ」
「…………はぁ」





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あきゅろす。
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