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天と地と、その狭間で(禮晶) 完

「しかし、あれを扱える人間がそういるとは思えませんが」
「そうだな。でもあいつ、『普通』の人間じゃなさそうだった。可能性はあるぞ?」
「あぁ、あの若子ですか。弟に言いたい放題言われても呑気な顔でへらへらしていたある意味骨の太そうな」
「…お前、俺よりも遠慮無いのな」
「そうですか?これでも結構婉曲に…」
「……あっそう」
話に飽きてきた翡はふっと天を見上げた。
いつの間にかひらひらと、雪が舞い始めていたのだ。
いつも上からしか降る様を見た事が無かったが、こうして下から眺めるのもなかなか趣があって良い。
「……綺麗だよな、雪。真っ白で」
「えぇ」
六花という異称もある様に、花と喩えられる美しさだ。
「だけど、大抵の者は呑気に綺麗だなーなんては言っていられない。」
雪崩などの災害、農作物への被害。生命を落とす事ですら稀では無い。
「そういう事が分かる奴に預けたい。地の帝になる奴には俺達の事より、そっちに目を向けて欲しい。」
しかし現在殆ど軟禁状態な奴、しかもそれで満足してる奴を引っ張り出すのは骨が折れそうだ…などとぶつぶつ言っている翡に、お目付役は笑った。
「…なるべく早く戻って来て下さいよ」
「ん?」
「天帝陛下だという事をお忘れ無く、という事です」
「良いのか?」
頷いた彼に翡は顔をほころばせた。



「良いですか、夜はきちんと歯を磨いて、朝は顔を洗って…(以下省略)」
「………お前、俺を幾つだと思っている」




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