習作(kankisis)
2
約束された土地へと向かえ。自分は言われた。そこへ行けば、自由になれる。
自己犠牲。あいつらは良い奴だった。だがもう会うことは出来ない。自分たちに出来るのは、ただただそこへ向かうことだけだ。孤独だ。
三人が欠けた。残るは五人。ここから出られても、そこへ辿り着けるかどうかはわからない。だが向かわないとどうしようもない。だから進む。どれだけ遠いのだろうか……いや、考え込んでも意味がない。どうせ進むべき道は一つしか残されていない。さあ進もう。
無理はするなと言われたが、突き進むよりほかはないだろう。ああ、一人消えた。彼は何のためにここまで来たのだろうか。四人。雨が止んだ。あと何日だ? とことん行くところまで行ってやる。
さあ、次は何が来る? 太陽が最早乾ききった地面を容赦なく照りつける。そしてその地面をしっかりと一歩一歩踏みつけるようにして前に進む。ああ、チューバが燃えている。また一人消えた。うんざりだ。彼女は……泣いていた。これは仕方ないことなのか? 答えは永遠に見つからないのだろうが。三人。
どこにも答えはない。今ではそれだけが唯一の答えとなった。彼が言った。だから、ここで離脱する。じゃあな。
一人死んだ。あとは二人のみ。
見えた。あと少しで辿り着ける。黙々と、単調に、一定のペースで進み続ける。意識は薄れる。気付いたら、後ろで彼女が倒れていた。動かない。一人。孤独。
あと少し……
着いた。あっけなく。「自由」の意味が、やっとわかった。こここそが約束された土地。自由以外、何もない。自由。それだけ。でも充分だ。
ここが天国だ……
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