習作(kankisis)
二人目
彼は生きているが為に苦しむ
苦しもうとするが為に救われる
そして 天に昇る
だが まだ昇らぬ者達の為に地に降り
さらに降り
彼等は救われたのだろうか
否 彼の居所は誰も 彼さえも 知らない
暗闇
糸を手繰り寄せるように
そして 再び姿を現す
しかし
声が
彼なのか?
何故?
本当に?
猜疑はすぐに広がり
憎悪は悪魔の炎のように燃える
喇叭が鳴り響き星が落ち
昆虫達は殖え巻物は咀嚼される
その時でさえ 彼は
彼は 彼は
彼は
手を下そうとしない
ああ 彼は彼であるのだろうか
否 彼ではない
しかし 彼なのだ
新しい聖都が造られ
花嫁を迎え入れる
忘れてはいないか
と
彼等は救われたのだろうか
否 だが彼がいるではないか
彼は忘却の彼方より現れる
眷属を引き連れ
同志を引き連れ
遂には仕事を全うする
標を建て
声を上げ
最後の罪人を導く
終ぞ救われることのない人々さえも 彼は目を向ける
彼は ああ 遂に ああ 荘厳な光と共に 天へと昇りゆく
おお 彼を讃えよ
その声を
偉業を
我等は仰ぎ見る
大いなる光を
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