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縹(禮晶)完
拾肆
「建国神話を知っているか?」
玉の問いに縹は頷いた。

桓ノ国の初代皇帝・蒼(ソウ)。
天帝に太白剣を下賜され、天下を統一した人物である。
それまでは数多の氏族が覇を唱えて争っていたのだそうだ。
その中で、蒼と最後まで互角に争った氏族があった。
蒼自身には共存して行きたいという意向もあったらしいのだが、結果としてその氏族は殲滅されてしまったと言う。
女子供に至るまで殺された彼らの怨恨の念は地に染み込み、彼らの故地であった場所は呪われた土地だと言われた。
紅い曼珠沙華がまるで血の海の様に咲き誇る以外には、何の生命も育まれる事の無い不毛の地として……
そして、彼らの怨恨の念の矛先は蒼の身内や大切な者達へと向けられたと言う。彼自身を殺すのではなくて、その周りの者達を次々と殺す事で蒼を苦しめようとしたのだろう。
どれ程懇ろに弔っても益々暴れ狂う怨霊達を前に、生身の人でしかない蒼は天帝に伺いをたてたらしい。
天帝がそんな彼に下賜したのは魂魄を封じ込めるという毒。
蒼はその毒を以て全ての怨霊の魂魄を封印した………

「そうだ。だが、我らしか知らぬ続きがある。」
「続き……?」

幾ら怨霊達を天帝に下賜された毒で封印したと言っても、彼らは隙あらば毒の封印から逃れようとした。
その為、蒼は更にその上から二重の封印を掛けたと言う。
一つ目は、神剣・太白剣の柄の翡翠の大玉。
二つ目は、蒼自身であった。
蒼の身体を巡る血がもう一つの封印とされたのだ。
そしてそれは帝位を継いだ皇族にのみ顕現し、今日までも脈々と受け継がれていると言う……


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あきゅろす。
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