縹(禮晶)完 拾参 幾ら丁寧に供養していたにしても、随分と遅い時間になってようやく戻って来た縹に玉は問うた。 「一体何処まで本格的に供養していたのだ」 棺桶でも作っていたのか、と言う玉に縹はいいや、と首を振る。 「適当にそこら辺に埋めて線香上げただけだ。」 では何故、という顔の玉に縹は躊躇いながら言う。 「あの猫の死に際の様子が明らかに妙だったのでな…ちょっと腑分けをさせて貰っていたんだ。」 腑分け、と聞いて玉は顔を青くする。苦手らしい。 「それで、記憶が間違っていなければ…あれは封印の毒だ。」 封印の毒という縹の言葉に玉が青い顔を更に青くした。 「封印の毒とは我が始祖が怨霊を封じた時のか…?」 「玉?」 玉もしばらく躊躇ってから口を開いた。 「……私達皇族のみに伝えられている伝承があるのだ」 どうやら、事は単純な帝位争いに留まらない様だった。 [*前へ][次へ#] [戻る] |