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蛟竜(禮晶)完

その少女は生まれつき盲目だった。
そして、髪の色が白銀だったのだと言う。

彼女は光を見る事は出来なかったが、闇を視た。
ヒトならざるモノ達がいると、どれだけ上手く化けたり隠れたりしていてもそうと分かるのだ。
郷の長が少女に彼女こそ水蛇様の御子であると告げると彼女は驚き、そんな事はないと否定した。
だが、一刻も早く大雨を止めたい郷民達は少女の言い分などに耳を貸す筈も無かった。
彼女は郷にある小さな祠の中に幽閉されてしまう。
普通ならば水も食料も一切与えられなければ遠からぬ内に餓死してしまうだろうが、少女は生きながらえていた。
……否、どうしても死ぬ事が出来なかったのだ。

『へぇ、お前が水蛇の娘か。』
不意にそんな声が少女には聞こえて来た。
「誰?私は本当に水蛇様の御子なの?」
『あぁ、間違いなくな』
ヒトならざるモノだ。
声からして青年だろうかと思ったが、少女はその考えを打ち消した。
彼らの実年齢ほど判じ難いものは無いのである。
盲目の彼女に代わって青年を描写するとかなり整った顔立ちで、服装は結構高価そうだった。
特徴的なのは瞳の色だ。黒ではなく薄藍色である。
縹(ヒョウ)色という名の色なのだが、そんな事は盲目の少女は知らないし、見えないのだから無意味だ。
水蛇様の御子だと告げられ戸惑っている少女に青年の姿をしたモノは笑いながらこう言った。

…………私と共に来るか?…と。


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あきゅろす。
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