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蛟竜(禮晶)完
拾弐
神仙の世界、鏡池。
「お前、本当に天帝か?」
「間違いなく天帝陛下だがそれが何か?」
水蛇はマムシを漬けた焼酎を飲む友人を睨んだ。
…………蛇神たる自分に対する嫌味だろうか、これは。
コウと竜の会話を鏡池の水面を介し聞いていた二人だが一度中断する事にした。
理由は簡単である。…縹の腹の虫だ。
「天帝でも腹は減るのだ。仕方あるまい?」
因みに彼は腹の虫が鳴く一刻前に軽く三人前は平らげていたという事実を忘れてはならない。
水蛇が呆れ返っていると縹は尋ねた。
「ところでお前は行くか?人界」
これから桓ノ国は帝位争いが起きるだろう。
その昔、天帝が天命を持つ人間の皇帝に下賜した太白剣という神剣を抜いた者が帝たりえるのだと言う。
縹はこれまでにも何度か人界に降りて、直々に桓ノ国の帝たりえる者を選定した事があった。
「行く。ついでに娘にも会うとするか。」


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