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風の音(禮晶)完

「お前、どうしたのだ?本当に。」
「分からない…」
篝火に照らされた銀の顔色は尋常でなく白い。
「取り敢えず宮に戻ろう。白湯かなんか飲め」
「申し訳、ありませ…」
「今発見した。…お前、敬語似合わないのな。」
じゃぁ、とふてぶてしく言い直す銀に鷹は笑った。
「その分ならそう重篤という訳でも無さそうだ。…うん、でも気になるから来い。あ、命令な。」
返事も待たずにすたすたと歩き出す鷹の背中に銀は少し笑うと、小走りで後に従った。


「太るぞ、こんな時刻に夜食食ってると。」
「摂取量はちゃんと計算している、抜かり無い。」
そう言いつつも夜食に手を伸ばす速度と頻度が落ちている鷹。太りたくはないらしい。
傍らで白湯を飲んでいる銀に鷹は尋ねた。
「なぁ、火結神様の仰っていた事…」
「ん?」
「お前の笛に天帝陛下も聞き惚れていたって…」
あぁ、と銀はさして感慨無さげに呟いた。
「天帝陛下かどうかは分からなかったが、確かに有り得ない位に強大な神気があったな。」
「神気?」
文字通り神仙の気配だ、と銀は面倒臭そうに言う。
「嬉しくないのか?」
「別に。どうせ生きる為だけに磨いた腕だ」
言葉の意味を斟酌しかねて首を傾げた鷹に銀は持っている湯呑に視線を落としたまま言った。
白湯の上に、暗い表情をした銀が映っている。
「異形の化け物、でも笛が上手いし見せ物として使う事も出来るから取り敢えず生かしておけ、……一族の中で俺はそういう位置づけだ。」
「そんな、」
銀は不可思議なものを見た様な表情をした。


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あきゅろす。
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