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火結(禮晶)完
拾壱
一方、神仙の世界………
縹は恐る恐る己の執務室の扉を開けた。
「えーと水蛇、いや、水蛇さん?」
手で触れられそうな程に濃厚な怒りの気配が満ちている。
瞬間、殺気を孕んだ剣が飛んで来て、縹は飛び退いた。
これは……相当、怒っている。
入るに入れずに扉の前で固まっていたら怒鳴られた。
「遅い!さっさと入って来いっ!」
「は、はいっ!」
何だか主従が逆転した会話だな、とか現実逃避に走りつつ縹は執務室へと入った。
仁王様も不動明王も裸足で逃げ出す憤怒の形相の水蛇が部屋では待ち構えていたのだが………
「今すぐ説教してやりたいが後にしてやる。来客だ。」
「え、マジ?」
来客万歳。
縹が心からの歓喜の声をあげ、水蛇に睨まれている様子を見た客は苦笑を禁じ得なかった様だ。
笑いながら、言う。
「全く…相変わらずで何よりだよ、縹。」
縹は客を見て少し驚いた表情した後、破顔した。

「久し振りだな、…………那岐(ナギ)。」



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