story 甲子園 第2回戦 ――マルコムの私室 マルコム:誰があんな汚い女の兵を借りるか。桜士どもの息の根は俺が止めてやる…! マルコムはぶつぶつと独り言を言っていた。 ?:マルコム様、私たちにお任せを。 部屋の隅に人影が現れた。 マルコム:お前は…!…フッ。まぁ、お前に任せるのも悪くないな。 マルコムは微笑した。 ?:はい。それでは。 影はサッと消えた。 マルコム:…。 ――甲子園 桜衣vs土佐<ツサ> 5 ― 8 八回表 ツーアウト バッターボックスには光平が入っていた。 光平:(…一、二、三)! 光平は見事にバットの芯に当て、レフト前ヒット。 次のバッターは村田裕也。 裕也:…っつ! ツースリーに追い込まれていた。 裕也:…!っくそ! 裕也はバットで地面を殴り、ベンチへ戻った。 八回裏 ノーアウト 森澤:うっし!! 一人目のバッターからアウトをとった。 審判:ストライク!バッターアウト! 二人目も抑えた。 三人目。森澤は振り被って投げた。バッターはそれを見事に打ち返し、ボールはライトへ飛んだ。ボールがキラッと光った。 理沙:ねぇ、健太郎君がボール捕ったらヤバいかも。 皆はボールから邪悪な波動を感じた。 隼:仙ちゃん!!ボール捕るな!!…何?! が、声は届く筈なく、健太郎はボールを掴もうとした。その時、健太郎の頭上に好樹が突然現れ、好樹はボールをまともに食らい、健太郎ともぶつかった。 下元:ややこしいことになったなぁ。 皆の前に下元が現れた。 下元:先生が時間を止めるけぇ、早く処理しろ。 皆は即座に言葉を理解し、頷いた。観客や選手の記憶にこのことを残してはいけないのだ。 下元:祖よ、我が禁忌の呪に手を染めしこと、許されよ。【時空の流―七―封縛<ホウバク>】連鎖!【十二―帰心<キシン>】!! その瞬間、好樹以外の桜士と四教人以外の人々の動きが止まり、時間が戻され、好樹がボールを食らった直後まで戻った。 皆は素早く好樹を下ろした。 開人:ボールは触らない方がいい。 梓:うん。【氷蒼の麗―伍―雹牢<ヒョウロウ>】 ボールは怪しげな光を放ちながら、氷塊に閉じ込められた。 健太郎のグローブには違うボールを入れた。 下元:…っ!もうええか!! 下元の顔は汗だくだった。皆が応援席に戻った途端、呪文が解けた。 その後、時間操作の副作用で観客の記憶に余計な事は入らずにすんだ。 しかし、何故突然好樹が現れ、あのボールが何なのかは分からない。 前へ『*』『#』次へ [戻る] |