story 第三章 辛いけど 縁側にて別ver. ――外・縁側 開人:何であんなこと言ったんだろ…。 開人はぼーっと月を眺めていた。 光夫がどこからか蚊取り線香(豚)とうちわとスイカを持って来た。 光夫:あ? 開人:うううん、何でもない。 光夫:ホントに? 開人:ホントホント。 夏の終わりの少し涼しい風に乗って虫の声が聞こえた。 光夫:スイカ食う? 開人:え?スイカ嫌い。 光夫:あ、そう。 光夫がスイカを食べる音で虫の声が聞こえなくなった。 開人:…はぁ。風情も何もありゃしません。 光夫:ん? 光夫はペロリとたいらげた。 光夫:ホントに…いいのか? 光夫が口を開いた。 開人:何が? 光夫:孝俊のことだ。分かってるくせに聞き返すか普通。 開人:へへ。 いいんだよ、最後は本人次第。 僕はもうこれ以上考え込まない。 ってか、僕が苦しんだとか言わないでよ。 光夫:だってホントだろ。 光夫はニッと笑った。 開人:そうだけど、そのせいで孝俊の心が…。 光夫:孝俊の目の前で涙流す方がどうかと思うけど…。 光夫はボソッと言った。 開人:何? 光夫:何でもない。 開人:ホントに? 光夫:ホントホント。 その夜はゆっくりと更けていった。 ゆっくり、ゆっくりと、皆の泣き声、涙、虫の声を呑み込みなが 開人:痛い…。 光夫:一人で何もかもしたツケだな。 開人:ひどい…。光夫、傷なおるの早くない? 光夫:ふふーん。 開人:怪しい…まさか! 光夫:ほら。 光夫が広げた手の中にはあのピアスがあった。 開人:やっぱり!……貸して。 光夫:ダメー。自業自得だろ。何でも一人で片付けようとする、っていうな。 開人:くそ…【壱式―転移】…!!いッたぁ―!!!!! 開人は胸を抑えてうずくまった。 光夫:いッ!…大丈夫か? 開人:はぁ…。へへ…頂き。 開人の手にはピアスが握られていた。 光夫:…はぁ、呆れたぜ。その体で式使うか?普通。 開人:死ぬ…ぅ。 光夫:おいおい…。 痛みに叫ぶ声も。 前へ『*』『#』次へ [戻る] |