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 初めて触れる田島の身体はどこもかしこもゴツゴツしていて、唯一と言えるほど柔らかいのは太腿の内側ぐらいだろうか。白く、日焼けのしていないそこに花井が舌を這わせる度に漏れる田島の声が、気持ちいいと言っているようで花井を安堵させた。
「は……あ、ンン……ッ!」
「ここ、弱い……?」
 付け根から少し離れた個所を吸い上げると田島がビクン、と腰を震わす。思わず閉じようとする太腿を掌で押さえつけると、先ほど果てたばかりの田島の中心がまた硬く迫り上がっていくのが分かった。その下の、自らの吐き出した熱で濡れそぼったそこは、花井の唾液で濡らした指先をスンナリと受け入れる。挿し入れた花井の中指が奥まで入っていった。
「あ、あ……ッ」
「痛いか?」
「い、たくね……、だい……じょぶ」
 感じた事のない異物感に身を捩る田島の額にはぶあっと汗が浮かび上がる。口ではああ言っていても田島の事だ、きっと花井に心配かけまいとやせ我慢しているに違いない。そんな田島の流れる汗ですら愛しく見え、出来る限りやさしく抱いてやりたい、花井はそう思った。
 その汗を拭うように田島のはりついた前髪を撫で上げ、花井はそっと口唇を落とす。額にそばかすに鼻頭に、やさしく降り落とされる花井のキスに答えるよう、田島は腕を伸ばして花井の頭を抱いた。
「んむ、う……は、ない」
「……なに?」
 絡み合う吐息の合間に名前を呼ばれ、花井は田島の舌を解放する。そしていつの間にか二本に増えていた花井の指が内側を刺激するや否や、田島は迫り来る快感に抱いていた花井の頭をさらにキツク掻き抱いた。
「あっ、や……! そこ だ、め……っ」
「田島、気持ちいい?」
「うあっ、いい よ……、だから、花井っ、もう……」
 挿れて、と耳元で懇願された声は甘く艶を含み、花井の理性を飛ばすには容易かった。



「コンドームがないから最後まではしない」
 今から数十分前。そう言い切った花井の目の前で、田島がゴソゴソとズボンのケツポケットから取り出したものは財布だった。
「ばかだなぁ花井は。オレが何の用意もしてないと思ってんの?」
 さらに財布の中からゴソゴソと取り出したもの、それは花井がないと豪語したばかりのコンドームだった。
「じゃーん! こんな事もあろうかといつも財布に入れてあんだよね」
 まるで語尾に音符でもついているみたく話す田島に、花井は開いた口が塞がらない。
「ば、ばかだろお前!」
「あー、ンな事言ってっとやんねーよ? コレ」
「……いらねーよ。どっちにろ今日は最後までしねぇ」
「えー、なんでー!?」
 本音を言えば花井も男だ、最後までしたいに決まっている。けれど己の欲望を置いておいても、田島の負担を軽くする事が花井にとっては何よりも重要で。つまりは大事にしたかった。
 分からない、といった表情で見つめてくる田島に花井は小さく苦笑する。怖い、とか少しは思わないのかな、なんて思いながら田島の持っているコンドームを没収した。



 田島の内部から指を引き抜き、荒く呼吸を繰り返す田島を見ながら慣れない手付きで自らの中心にコンドームを被せていく。よもや使う破目になるとは思ってもおらず、花井は自分の流され易さをこれでもかと痛感していた。
 思わず漏れる花井のタメ息に、田島は両手を広げて視線を送る。
「花井」
 花井と比べ、これから苦痛を味わうであろう田島の方が潔いなんて笑ってしまう。でも自分の弱さと田島の強さ、認める事が出来た今ならもう苦しい事はない。
「田島、力抜いて……」
 持ち上げた足から覗く田島の秘所に、花井は自らのモノを宛がい揺らす。やがてピタリとそこにハマると力強くゆっくりと田島の中へ押し入っていった。
「は……ぁ、く、んああ……ッ!」
「く、……キツ……」
 無意識に力の入る田島の身体を和らげようと花井は胸の突起を指先で軽く押し潰す。身じろいだ田島の半開きの口を塞ぎ奥ばった舌を絡め取ると、くぐもった声と共に田島の目尻から涙が伝った。
 分かってはいた。けれど実際に目の当たりにするとやはり胸が痛む。花井も決して楽なわけではないが、田島に比べるとその差は歴然としているだろう。
 苦しそうに眉根を寄せ、涙を浮かべながら喘ぐ田島を見て、気がつけば花井も泣いていた。
「……はな、い? どっか いてぇ?」
 ふと滲む視界の先に見えた花井の涙に、田島はそっと手を伸ばす。涙に触れた手はそのまま花井の手に取られ、ちゅ、と掌に口付けされた。
「お前は……こんな時にオレの心配してんなよ」
「だって花井、泣いてっから」
「これはっ、田島が泣いてっから……」
 シンドイ。そう言おうとした言葉は、目の前を通り過ぎていった風に持っていかれてしまい音にならなかった。その代わりに普段のトーンに戻ってきた田島が言う。
「えー、これは仕方なくね? 生理現しょー、だろ?」
「……痛くてじゃねーの」
「そらいてーけど、」
 動きが止んだ事でずっとコンクリートに押し付けられていた背中が痛み出し、田島は肘を使って上半身を浮かせた。それに気付いた花井は掴んでいた田島の腕を引き寄せ、繋がった部分はそのままに田島を自分の太腿の上に座らせた。
 同じ高さになった目線が妙に気恥ずかしく思え、花井は目尻に溜まったままだった涙を慌てて擦る。しかし田島はそんな事など気にしてはいなかった。
「花井にならいいよ、オレ。それに痛いよりも嬉しいの方がでっけーから」
 田島はそう言って笑い、花井のシャツの襟を掴んで胸元へ顔を埋める。花井の匂いを一頻り堪能すると、今度は花井の首の後ろに腕を回しギュウ、と抱きついた。
「だから、動いていーよ……花井」
「田島……」
 やさしく甘く、全身に響いた田島の声。嬉しくて愛おしくて、また涙が出そうになった。

「田島、好きだ……っ」
 花井のモノでいっぱいになった田島の中からそれを引き、突いてはまた田島の中を自分で満たす。その繰り返しに泣きながら喘ぐ田島を見るも、先ほどまでとは違い花井は幸福感で満たされていった。
「はな……い、は、あッ、オレ、も……んッ」
 痛いだけではない、と田島が気持ち良さそうな表情を見せ始めると、それに煽られた花井は噛み付くように田島の言葉を飲み込んだ。綺麗な歯列をなぞり舌を絡ませれば、ゾクリとまた違った快感が花井の背中を走る。
 もうどちらの汗かとかどちらの喘ぎかなんて分からなくなって、ただただ田島を欲する事に夢中になっていた。
「あっ、も……い、く……ッ!」
 熱に浮かされた身体はすぐに限界を告げ、田島は二度目の熱を吐き出した。それによって収縮する中の動きに刺激され、間もなく花井も果てたのだった。




(09/06.08)



あきゅろす。
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