第2話 占い師 B
「――まあ、いい。聞かれたにしろ、聞いていないにしろ始末すれば済む事だろうが」
「それもそうですね」
「え!?」
今度は私が絶句する番だった。
年長者の言葉に中頃の男は納得した。
“そんな重大な事を決めるのにそれでいいのですか!?”
そんな風に思わずにはいられなかったが、二人はじりじりと歩を進め、私に近づいてきた。
――逃げないと。
そう思えど、足がすくんでうごかない。
“――殺される! 死にたくない。死にたくない!”
死ぬのは嫌だったが、明確な死が徐々に近づいていた。
足ががすくんで動かない。
目の前には刃物を持った男の人がいる。
“死にたくない”
そう思っても体が言う事を聞かない。
刃物を持った手が動く。
それはゆっくりと、そして無情に振り下ろされた。
「ナニしゃがんだ、このアマァ!」
その時、私が押し倒した年若い男が目を覚まし、上体を起こしたので、男の上にいた私は後ろに倒れた。
お陰で切っ先は私の鼻の前を通っただけで済んだ。
「なんて、間がワリィ時に起きんだよ!」
「……す、すいやせん」
男達がそうしている間に私は探した。
“……投げる物……投げる物……”
視線は男達から離さず――離したら殺されそうだったので、手元を見ないで武器になる物を必死
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