第2話 占い師 A
その態度に苛立ちを覚えたもう一人の男が、
「ああ、もう! オメーというヤツは根性がねぇな……1回盗みをやったからには1回も2回も同じだろうが」
「そうだぜ……早いトコ、次の家を探せ!」
そして、年長者らしき、男がそう言い、年若い男を顎でしゃくり、
「ナニしてやがる! 早く行けッ!」
「わ、わかったよ」
年若い男が渋々と走り出した。
三人組は誰もいないのをいい事に話していたため、かなり距離があったが、男達の話を私はすっかり聞いてしまった。
“……た、大変!?”
――逃げなければ。
私は彼らの話を聞いてしまったのだ。
見つかれば無事で済まされるとは思えない。
意を決して立ち上がった私はだが、
「あっととと……」
立ち上がった拍子に裾を踏み、隠れていた茂みから前のめりに倒れ、たまたま近くを走っていた年若い男を押し倒した。
男達は口をあんぐりと開け、私を見た。
「テ、テメー、いつからそこにいた? まさか、聞いていたんじゃないだろうな!」
挙動不審になりながら、そう言ったのは中頃の年の男だった。
その男があまりにも怖い目で睨むので、私まで挙動不審になり、
「聞いてません聞いてません! 貴方達が前科1犯の盗人で、これからどこかを襲いに行くなんて聞いてませんし、知りませんッ!」
と言わなくてもいい事を口走ってしまった。
「なあ!? しっかり聞いてんじゃねぇかよ!」
中頃の男が一瞬、絶句したが、すぐに鋭い指摘を放つ。
男の言う通りだったため、何も言えず、私はうなだれていた。
[*前へ][次へ#]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!