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第1話 パーティ名 〜江東の…〜 A
「REYさん、REYさん! 旅団にはどうやって入るんですか?」

 忙しい時に限って、孫策さんはそんなコトを問い掛けてきた。

「アマラセ駐屯所に行って、受付で手続きをするだけ」

 ボクは事務的に聞こえるが、淡々と答えた。

「REYさんは加入していますか?」

「してるよ」

 ボクが加入している旅団は『紅剣』である。
 何度も言うが、ボクは『赤』が好き。
 字が違うが、『紅』も『赤』である。
 だから、迷うコトなく、『紅剣』に加入した。

「わたしも入っていいですか?」

 目を爛々と輝かせる孫策さん。
 理由はたぶんボクと同じ……だと思う。

“……『赤』はこれでいいか……”

 ――ボクは『赤』を断念した。

「……う〜ん……」

 ボクは未だに悩んでいた。

「……う〜ん……」

 何度、考えてもチーム名が思いつかなかった。
 残る単語は『孫策』、『江東の虎』の二つに、『反逆の魔竜王』。
 『孫策』は孫策さんを指すため、ストレート過ぎるので、これは除外した。

「……う〜ん……」

 残る単語は『江東の虎』と『反逆の魔竜王』。
 三国志好きの孫策さんを表す単語と幻想物語好きのボクを表す単語で構成しなければならない。

“……『江東』、『虎』、『反逆』、『魔竜王』……”

 頭の中で、それぞれの単語をさらに分解して考えた。

“……『虎』だと、別の魔王になるし、『反逆』は『孫策』のイメージに合わないし……”

 残ったのは『江東』と『魔竜王』。

“……江東の〜……”

 三国志関係の単語を、これ以上、細分化するコトは出来ないため、幻想物語の単語を細分化し、『江東』と組み合わせた。
 ボクにだって、こだわりがある。
 チーム名は初期メンバーで構成する、と決めた以上、それで作るしかない。
 そうして、決まったのが……

“……江東の、竜……”

 ボクは頭の中に出てきた単語の組合せを何度も反復させた。

「――出来たッ!」


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あきゅろす。
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