第1話 パーティ名 〜江東の…〜 @
「REYさ〜ん」
「……う〜ん……」
「REYさんってば!」
「……う〜ん……」
ボクは悩んでいた。
「いつになったら決まるんですか?」
隣に座る孫策さんから催促の声が掛かる。
“言われなくって、やってるでしょうが!”
そんな言葉を言ってやりたかったが、言うだけの時間すら今は惜しかった。
――ボクの悩み。それはボク達のチーム名である。
「孫策さんはナニが好き?」
ボクの問いに孫策さんは、
「わたしですか? わたしはシャケとかマグロ、あと珍しいモノが好きです!」
「――それも聞きたいけど、そうじゃなくて、趣向とか、そういうのはないの!?」
「趣向、ですか?」
間延びした調子の彼女に、ボクは頭が痛くなった。
“……まったく、ナンで、こうなるの……”
二人だけ、と言っても、それだけで立派なチームである。
チームには名前が必要だ。
名前は出来れば、初期メンバーであるボクと孫策さんを表すモノにしたい。
そのための情報収集をしているのだが、これがうまくいかない。
「……名前からすると、三国志が好き、とか?」
「そうです! でも、REYさん、よくわかりましたね」
ボクの予測に孫策さんはうれしそうに答えた。
“……知識、としてはね……”
三国志とは、こことは違う世界で、魏、呉、蜀という三つの勢力による戦いを綴った、歴史物語のコトである。
ボクが知っているのは『孫策』が『小覇王』と異名される、呉の若き指導者の名であるコト、呉は『江東の虎』とも呼ばれるコトを知っていた。
また、呉のシンボルカラーは『赤』であるコトである。
“……赤、か……”
ボクも赤は好き。
ボクは剣と魔法の世界で繰り広げられる幻想物語が好きだった。
その中に出てくる人が熱い人で、長い赤毛に象牙のコートを愛用する『反逆の魔竜王様』。
ボクはその人が大好き。その人のシンボルカラーは『赤』と『黒』。
ボクと孫策さんの間で共通しているのは意味違いだけど、赤が好きなコト。
“……赤を入れるべきか?……”
共通する単語を入れて、チーム名を考えるべきかボクは迷った。
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