SADISTIC EMOTION
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STAGE3
結城は所謂、美人、ではない。
整った顔立ちはしているが、均整のとれたプロポーションは女性を裕に抱え上げる。
薄い髪色と眼の色は自前なのかどうか、斜に構えた態度とあいまって鋭い印象があり、本人も自覚しているのか、丸いカラーサングラスを愛用していたりする。
加えて長年培ってきた嗜虐嗜好が雄を剥き出しに生きて来た、まさに支配者然とした雰囲気を作り出している。
男の目から見て、欲望の対象にするには程遠い存在。
だが。
それが眼の前で快楽を滲ませ、隠そうとしている様子に。
他者に圧倒的強さを見せ付ける結城の、意外な弱点に。
真川はどうしようもなく魅了された。
知らず、コクリ、と息を飲み。
引きずられるように僅かな緊張を覚えた真川は、平静を装って結城に話し掛ける。
「先生?後ろ手縛りもしたいんですけど…不都合ですか?」
堂にいった演技だ。今ならアカデミー賞くらい軽いかもしれない。
ふと、そんな風に考えて真川は笑みを滲ませ。
「…そう、だな。」
対して、歯切れ悪く、そろりと腕を後ろに回す結城は大根もいいとこだ。演技はできないと申告していただけはある。
真川は新しい縄で結城の左右の二の腕に縄を渡し、巻き付ける。
「コツとかってありますか?」
「…え、と…腕の渡しはキツメにして、手首と首の縄の長さは短めにすると、胸と腰が沿って綺麗かな。」
技術的な質問に、大丈夫だ、と安堵しながら答えた結城は、瞬間ギリ、と締め上げられて悲鳴を噛み殺す。
ぐ、と胸を反らした状態で後ろ手に腕を拘束されて結ばれ、手首は身体に巻き付けた余りで首へと引き上げられて固定される。
微かな痛みと不自由さに、カッと顔に血が上るのが解り、いたたまれなくて俯くと結城は真川に話し掛ける。
「も、いいだろ…解け。」
「確認くらいさせて下さいよ。」
「…………。」
背後からでは前面の縄目は確認出来ない。
結城は真川の言葉に不承不承といった感じで頷いた。
向かい合う形で立つと、結城は本人が思っている以上に解りやすい状態だった。
上気した頬に、引き結ばれ僅かに食いしばられて赤い唇、サングラスの向こうで伏せられた睫毛は震えているように見える。額にうっすらと滲む汗と、強張る首筋。
薄いシャツごと掛けた縄は僅かに食い込んでシャツに皺を寄せ、胸の中心で存在を主張する突起がぽつんと浮かび上がっている。
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