決める君と、決めさせる僕
朝からかけ続けている電話になまえは一度も出ず、校門前に車を止めても下校する姿が一向に現れない

ならば今日は欠席かと思って自宅に向かっても自宅は真っ暗、何処にも灯りは無くて誰も居ないと判断するのは簡単だ

再び学校へと戻って彼女を待ち続けて早2時間、もうじき7時となってしまうのに彼女は何をしているのだろうか

放課後もまた皆から虐めを受けている、これは考えられない

何せ彼女のクラスメートが全員下校したのは目撃済み、あの馬鹿男の下校姿も目撃した

「………。」

その筈が俺は数時間前に帰宅したばかりのあの馬鹿が両親を左右に並べて校門をくぐる姿を見て、一人で首を傾げた

こんな時間に両親と登校、これは普通に考えて有り得ない

問題を起こし、お咎めを受ける為に両親と呼び出しをくらった…これが正しいだろう

何をしたのかは知らないがどうせ下らない事、もしかするとなまえの嫌な噂を流せと命じた俺に従っている最中に教師に見つかりでもしたのかも知れない

あの馬鹿め、どうしてそうも期待を裏切り続けるんだ

ようやく役立つかと思えばやはり今回も役立たず、アイツにはもう何も期待しない

本当にその行いがバレてしまっても咎められるのはアイツ、俺に命じられたとは言えない

命じられたと打ち明ければ自分の盗みがバレる、とは分かっている筈だ

「なまえ。」

ようやく彼女が校門前に現れたのはそれから15分後、街灯に照らされた彼女の表情は嬉しそうにも見えた

車から降りて駆け寄れば彼女は驚いた表情をし、何度も瞬きをして俺を見上げる

彼女と会うのは昨日ぶり、たった一日会わなかっただけでも俺はとても寂しく、久しぶりとも言える再会に胸が高鳴る

だから両腕で彼女を閉じ込め甘い香りを堪能し、未だに驚いた表情を見せている彼女の鼻へカプリと噛みついた

「…待っていたの?」

「なまえ、こんな時間帯まで何をしていたの?」

「保健室、で眠っていて…あ、電話、気付かなかっただけ、で…無視したわけじゃ、ない。」

「…そっか。良いよ、許してあげる。さ、早く車に乗って。送ってあげる。」

「………うん。」

手を繋いだ彼女の体温は温かく、その体温が下がらないようにと暖房の利いた車内へ彼女が乗り込むのを助手席のドアを開けながら待った

彼女が乗り込めば次に自分が運転席に乗り込み車を発車、目的地は彼女の自宅

連れて行きたいのは俺のマンション、でも現段階ではまだまだ無理

無理矢理に連れ込むのは簡単だとしてもそれでは楽しめず、これまでの苦労が全て無意味となる

俺が望むのは彼女が自分は誰からも嫌われた存在だと錯覚し、俺だけが味方だけだと信じて俺の存在を求める事

そうなる為に残された問題は彼女の両親、一人っ子で両親を大好きとしている彼女が両親からも嫌われたと錯覚すればかなりのダメージが期待出来る

走り続ける車内にて彼女は無言、チラリと盗み見た横顔は先程とは違って無表情

校門から現れた時の彼女は確かに嬉しそうな表情をしていたのに、何があったのかは教えてくれないのだろうか

「なまえ、今日は誰に、どう虐められたの?」

「今日、は…虐められるの嫌で、ずっと保健室、に…それで、眠り過ぎてこんな時間になって…。」

「学校へ行けば皆に虐められる、それが恐くて眠れなかったんだね。」

俺の問いに彼女はコクンと頷き、ブレザーの袖で目元を拭った

今日は何の虐めを受けていない、これは少し楽しくない

虐められて心を痛ませた彼女に優しく接するのが俺の目的なのに虐められていないとなればどんなに優しくしても大した効果は得られず、必死に考えた計画は水の泡

彼女を自宅まで送って帰宅したらあのクラスメートのサイトへ繋ぎ、保健室へ逃がさないようにしなければならないと忠告のメールでも送ろうか

「…あの、ね…確かめたい事があるの。答えてくれたらもう二度と疑わないから、絶対に嘘は言わないで。」

「良いよ、何でも答えてあげる。」

俺が有利となる返答をね、とは言わない

彼女が何を確かめようとしているのかは言われなければ分からないけれど、返答によっては俺が不利となる状況が出来てしまう

だから嘘を言うのは当然、彼女を手に入れる為なら何でもすると決めている俺は、どんな嘘だって平気で言える

「昨日、言ったよね。学校掲示板っていうサイトに、私の中傷が沢山あるって。それを書き込んだのは、貴方?」

「小太郎で良いよ。そして、俺はその犯人じゃあない。これは昨日も言ったよね。」

「…じゃあ、どうして匿名で学校に、私が深夜にバイトをしていたと通報したの?しかも、まるでキャバクラで働いていたように。」

「それも俺じゃあないよ。だってなまえ、よく考えて御覧。俺はなまえが大好き、なのにそんな事をしたら、大好きななまえを苦しめちゃうじゃないか。」

「………最後に、一つ…良い?」

「良いよ。何でも聞いて。」

「小太郎、は…私の味方?」

三つ目の質問で彼女は俺の方へ振り向き、真剣な表情を見せた

同時に俺の背筋がゾクゾクとして、今すぐ車を止めて押し倒してやろうかと危険な発想が生まれる

けれど我慢するのみ、今は彼女が望む返答、そして俺が有利となる返答をするのが先だ

あの掲示板に書き込んでいるのは彼女を虐めている首謀者であるクラスメート、俺が勧めたとしても書き込んだのは俺じゃあないから違うと返答したのは正しい

深夜に働いていたと通報したのは俺、理由は折角初めてのバイトを心配してわざわざ足を運んであげたのに彼女が俺を蔑み、俺の存在を拒んだからその仕返し

匿名の通報があったくらいで厳しい処分を受けないとは思うし、処分を受けるとしたら口頭での厳重な注意、あるいは短期間の停学処分くらい

三つ目の質問は俺が彼女の味方であるか、答えは勿論Yesだ

「俺はなまえの味方だよ。なまえがどんなに皆に嫌われ、常に死ねと願われている存在でも、俺は大好き。だからほら………ね、キスだってしたくなる。」

返答している内に信号は赤になり、ブレーキを踏んで体を彼女の方へ寄せた

唇を重ねたのは僅かな間、彼女からの抵抗は一切無し

抵抗しないならこのまま目的地を変え、何処か適当なホテルでも入ってやろうか

そうは思うが彼女をそんな無粋な場所で抱くのは俺のルールに反し、青に切り替わった信号を見てハンドルをどちらに切ろうかと迷う

右に曲がって直行すれば彼女の自宅、左に曲がって暫く走れば俺のマンション

どちらに曲がり、彼女をどうしようか

「信号、青だよ…?」

「…そうだね。」

迷い続けて決めたのは右、彼女の視線がそちらに向かっていたからだ

昨日に続いて今日もまたオアヅケ、自分の理性の強さには我ながら感心する

此処から彼女の自宅までは車で15分、バイトが無いのに会える時間は極端に少ない

彼女がもっと俺と一緒に居たいと言ってくれれば幾らだって時間を作ってあげるのに彼女は帰宅を望み、チラチラと時計を見てばかり

今日は両親が早く帰宅する日、既に帰宅して彼女の帰宅を待っている頃だろう

彼女を大好きな両親、あの二人が彼女を嫌うにはどうしたら良いだろうか

実際に嫌わずとも、彼女が嫌われた、そう錯覚してしまえば良いだけなのにこれが中々難しくて未だに何も案が生まれない

「今日、ね…嫌な事があったの。だから、教室にも居たくなくて、保健室に逃げていたの。」

「…何があったの?」

「掲示板にはね、私が3,000円さえ払えば、誰にだってさせてくれる子だ、とか…実際に私とシた事があるとか、そういう、私がサセ子っていう発言ばかりが書き込まれていて…それを信じた男子生徒が、朝から近付いて、来て…。」

「酷い話だね。名前が分かるなら、俺がお仕置きしてあげるよ。」

「それ、は…良い。逃げ切ったし、問題はそこじゃないから。昨日の放課後、ホームから落ちた私を助けてくれたでしょう?あれはね、隣クラスの男子と親しい私を嫉妬した彼の彼女が私を突き落としたから、で…それで、ね…その彼は、当日の朝からずっとその彼女とは別れて、次は私を狙っている、そう言っていたの。掲示板での書き込みを否定する為にも特定の人物、つまり自分と付き合った方が私の為にもなるって言われて…でも、ちゃんと断っていたの。」

「…それで?」

「それで…その仕返しなんだろうけど、皆に私とはこれまでに何度も関係を持っているとか、誰でもお金さえ払えばさせてくれるからチャンスだって、メールを送ったり、皆に言っていたりしていたの。どうしてそんな事をするのって怒ってもまぁまぁ、なんて言って…助けてくれた小太郎の事はセフレとまで聞いて来て…それを偶然聞いてしまった彼の友達が本当に私にセフレが居るって勘違いして私を軽蔑したり…もう、散々。」

「そう、大変だったね。可哀想に。」

珍しく喋り続ける彼女の声は後半になれば酷く小さくて聞き取れず、一度車をスーパーの駐車場に止めた

エンジンを切った車の中に響くのはか細い彼女の声と鼻を啜る音、そして自分の鼓動がやけに五月蠅く感じる

あの馬鹿男は役立たず、それでも多少は役に立っていたのだ

俺が命じた通りに彼女にとって嫌な噂を流し、お陰で彼女の精神は更にボロボロ

俺に愚痴を漏らすなんて以前だと想像も出来ない光景、俺に心を開きかけている証拠だ

自分が彼女を抱いた、この嘘は腹が立つももの彼女にダメージを与えられているのであればまぁ許してやろうか、とも思えた

それでも彼女と接しているのは俺の指示に背いたも同然、例え彼女の方から近寄ったにしても許せはしない

なんて怒りを俺が抱いているとも知らない彼女は教室に限らず学校では何処に居ても敵だらけ、早く自主退学を選び、俺のマンションの中だけを自分の居場所として望めば良いのに

「でも、担任が教えてくれたの。私が保健室で眠っている間、彼はそうやって皆に嘘を言いふらしている姿を他の先生に見つかり、厳しく叱られたって。今日は7時に両親を呼ばれて、停学処分を受けるらしいの。」

「なまえを虐めたんだから、報いを受けて当然の結果だね。」

やはりアイツが両親と共にこんな時間帯に学校へ訪れたのはお咎めを受ける為、俺の指示であってもバレてしまったのはアイツが馬鹿だからなので俺に責任は無い

バレなければ停学処分なんて受けなかったのにとことん馬鹿、停学となれば暫くバイト先にも顔を出さない

次に何を指示しようかと考えていた俺の計画にヒビが一つ、次に会ったらあの間抜け面に痣を作ってやりたい

「担任が言うにはフラれた腹いせとはまた違う理由があるような気がするって言うけど…何だと思う?」

「何だろうね。俺はその生徒を知らないから、思考まで予想するのは無理だよ。」

「そうだよね…あ、でもね、今日は嫌な事ばかりじゃなくて、良い事もあったの。私を虐めている首謀者がね、退学処分を受ける寸前だって、担任と保健室の先生が教えてくれたから。」

「…どういう事?」

それは初耳、首謀者が誰なのかは確かめるまでもなくネット内で女子高生に扮した俺に騙され彼女を虐めているクラスメートだとは分かる

退学処分を受けるのは何故かと考え、虐めがバレたのかと思ったがどうして今更になってそれを理由に退学を受けるのだろうかと新たな疑問が生まれる

サイトに設置されていたブログは一年生の頃からの記事があり、その人物が虐めを始めたのは入学して半年も経った頃

もうじき二年生の二学期も終わって冬休み直前で、彼女のクラスは卒業までクラス替えをせずにずっと同じメンバー

この二年間、教師は一度もその虐めに気付かなかったとは考えにくい

知っていながら無視していると思っていたのに、どうして、今更

「その子の両親は学校に沢山の支援金を出す権力のある人らしくて、納得させる証拠を見つけようと先生達はずっと必死だったみたい。それでね、最近になって彼女のサイトやブログを見つけて禁酒や禁煙姿の写真もあって、これを証拠に退学処分を下すって、教えてくれた。他にも処分される子も4人居るみたいだけど…でもね、嫌な独裁者が消える、だから私は、いつまでも虐めを受けずに済むの。」

「………そっか。」

泣いていた彼女は喋り続けている内に笑顔を取り戻し、校門から現れた際に嬉しそうに見えた理由が分かった

首謀者が退学となって姿を消す、確かに彼女が喜んでしまう話題だ

でも俺にとっては少しも嬉しくなくて、今すぐサイトを通じてブログや写真を削除しろとメールを送りたくなる

URLを残しているのは寝室にあるパソコン、携帯電話のお気に入りには登録していないから今は無理だ

そのサイトが原因で彼女のクラスメートが数人退学となる、それは別に構わない

問題はそのいつも首謀者となる独裁者が消えれば誰も彼女を虐めなくなり、彼女にとって住み心地の良い環境が出来てしまう事

俺が奴へ彼女を虐めるように催促した、これは絶対にバレない

例え奴が教師にその事実を打ち明けメールを見せようとも結局は正体不明、警察を使ってまで正体を掴もうともしないだろう

彼女は嬉しいからこそ笑顔でそんな事を俺に報告し、俺はその小さな頭を撫ぜて作り笑顔を浮かべるだけ

さて、ここからどうやって彼女の期待を打ち砕いてやろうか

「でも、それでなまえへの虐めは無くなるのかな。」

「だって、彼女の事は皆嫌っているんだし…クラスは平和になるよ。」

「今回なまえを虐めようと提案したその首謀者が消えるからって、虐めが無くなるとは思えないよ。なまえ、もっと深刻に考えなきゃ…酷い目に合っちゃうよ?」

「…え?」

「皆がその首謀者に従って自分を虐めている、本当にそう思う?それにしては、度が過ぎているよ。協力するように命じられる前から皆がなまえを嫌っているには変わりないんだから、虐めは消えないよ。きっと新たな独裁者が現れ、やっぱりなまえを虐めようとするんじゃないかな。だって、なまえは皆から死ねと願われている程、嫌われているんだから。」

「あ、で、でも…でも、そんなの…そうならないように努めれ、ば…担任だって、ね?私がクラスの輪が乱れないようにしてくれたら私の深夜のバイトを、黙ってくれるって…言って、くれた、し…。」

「皆に嫌われているなまえが、どうやってクラスの輪を乱れないようにするの?それ、反感を買うだけじゃないの?」

「………で、も…あ、そうだ。ええ、と…保健室の先生がね、今まで虐めを受けた生徒の相談を聞いて、その子達が私とかすがをね、拠り所として、唯一頼りになる存在だって、言ってくれていたと教えてくれたの。だから、今の皆はただ一人に従っていて…その…だか、ら…。」

「自分の意志じゃなく、首謀者の強い命令に仕方が無く従っている。そう信じたい気持ちは分かるよ。でも…現実はどうかな。」

「………。」

ちょっと突けば彼女は撃沈、少しだけからかい過ぎただろうか

久しぶりに笑顔を取り戻したのにもう泣き顔、それもまた可愛いと頬を緩ませる俺は悪魔だろうか

これで彼女は自分を虐める存在が居ないとしても誰も信用せずに自ら孤立を選び、裏切りを恐れて誰にも近寄らない

あの金髪の友人とも何かあったらしくあの子からのメールは先日の晩から『私の話を信じて欲しい』、『私だけは信用して欲しい』、『私は必ずお前の味方をする』と、似たり寄ったりな内容ばかりが届いている

そして彼女はそのメールに対して返信はしていない、だからこうもしつこく信用して欲しい、とのメールが送信され続けている

あれだけ親しくしていた子ですら今の彼女は疑心暗鬼、再び彼女があの子を信用しようとするとは思えない

「…学校、に…行きたくない。」

「じゃあ、どうするの?」

「学校辞め、て…働く、とか…。」

「学校で散々嫌われているなまえが、働ける場所は何処? なまえは知らないだろうけど、学校よりも職場の方が虐めは酷いよ。特に、女の職場はね。それに、なまえを雇ってくれる場所は限られているだろうし…雇ってくれも何れはやっぱり皆なまえを嫌って、誰も仕事を教えてくれなくなるよ。」

「もう、やだ…どうしたら良いか、分かんない…。」

「可哀想ななまえ…ほら、おいで。」

えぐえぐと泣き出した彼女はまるで幼い子供で、お互いのシートベルト外してを両手を広げれば簡単に俺の元へ自ら寄って来た

此処が駐車場、そして車の中じゃ無ければ、と俺が残念に思っているとはちっとも気付かない

ただひたすら俺に縋って胸元に顔を埋めて泣くから、震える小さな体を壊さないようにその体を両腕の中に閉じ込めた

彼女は何処へ行っても嫌われる、そう言ったのは俺

それは彼女に誰も味方となる存在は居ないと信じ込ませようとしているからで、実際にそんな事は無いと知っている

距離を置いた人付き合いを選んではいるが彼女は誰にでも笑顔だし、仕事を覚えるにしても要領が良いから俺のバイト先に来ればきっとすぐに自給が上がる

ムードメーカーにでもなって人気抜群、何処で働こうと問題は無いだろう

だけど、絶対に教えてあげない

「なまえ、俺が助けてあげる。なまえを大嫌いとしている皆と違って、俺はなまえが大好きだからね。」

「…どうやって?」

「俺のマンションにおいで。そこで一緒に暮らそうよ。お金の事は、大丈夫。俺にはそれなりの貯金があって、来年の春には大学を卒業して、その後の就職先も決まってる。なまえを一人養うくらい、ちっとも困らないよ。」

「それって…同棲する、そういう事?」

「そうだね。同棲して、二人だけで楽しい時間を過ごそうよ。俺のマンションには、なまえを虐めようとする酷い人は居ないよ。俺が、たっぷり愛してあげる。」

言い終えてからキスをして、初めて彼女が瞼を閉じた

昨日と同じように胸板を押し退けようとするかと思えばゆっくりと背に両腕が回され、指先の振動が伝わる

完全に彼女が俺のものとなった、そう確信して良いのかはまだ分からない

俺のマンションで共に過ごしたい、彼女がそう言った時こそ俺の勝利だ

マンションで一緒に暮らそう、そう提案したのはそういう逃げ道もあると、彼女へ教える為

これから先彼女はずっと現状に苦しみ続け、必死に自分の逃げ道を探す

その時、俺と暮らせば平和が手に入ると気付き、その選択を行えば良い

「今すぐ返事を、とは言わないよ。なまえがそうしたい、そう思った時にでも言ってくれたら…俺はすぐに連れて行ってあげる。」

「…ほんと?」

「大丈夫。俺だけはなまえの味方、それは教えたよね。」

「………ありがと。」

お礼を述べながら甘えるように擦り寄った彼女が今、どうしようもなく愛おしく感じた


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