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ある昼下がりの屋上庭園。



「たかー、どこいくの?」


「いーとこだ」


「いーとこってどこ?」


「いーとこはいーとこ、だまってついて来い」


「でも授業はじまるし、梓に悪いよー」


「あーあーあー、うるせっ!授業始まったってお前寝てるじゃんか、それに木ノ瀬はたまには後輩らしいことをしたらいい」


「えー」



食堂から隆文に手を引かれるがままに歩いてきた場所は…



「屋上庭園?」


「そうだ、屋上庭園だ。つーわけでほれ、シットダウン」



隆文がベンチを指して命令してきた。



「はい?」


「ん?発音が良くなかったか、sit down.」


「じゃなくて…」


「あ、そーか馬鹿は英語がわかんねえのか!はははー…ぐほおっ」

「なんで座るのか聞いてんの」


「いや、聞かれてねぇし、殴んなし」


「もー、ふざけにきたんだったら教室帰るよ!!」


「おーい、いつからそんなに真面目ちゃんになったんだよっと!」

「のわっ!」



隆文に肩を押されベンチに倒れこんだ。



「いいからそこ座っとけ」



そう言い残して彼は屋上庭園から出ていった。



「なんなのさ…」



昼下がりの屋上庭園は真夏の太陽が照り付け、暑くてたまらないが木陰に入ってるこのベンチとそよ風のおかげでいくらか涼しかった。上を見上げると太陽に透かされた木漏れ日がキラキラしてまぶしかった。


ひやっ



「のわわわわわわ!!!」


「はははー、気持ちいいだろ?」



急に後ろから缶ジュースを頬に当てられ飛び上がった。



「ばば、馬鹿!心臓止まるかとおもったじゃん!!」


「んだよー、せっかくこの犬飼様が暑くて堪らないこんな日に"どすこーい、お茶"をプレゼントしてやるってのに」


「もらったげる…」



ドカッと隣に隆文が腰を下ろすと親父っぽくお茶を飲み干した。



「ぷはー、冷たいお茶が体に染みるぜ…。で、どうするんだ?」


「!?、どうするって…」


「剣道部、誘われてんだろ?」


「まあ、はい、…」


「………」


「………」


「やりたくないのか?」


「いや、やりたくないわけじゃ…」


「じゃやりてーんだろ?」


「やりたいわけでもない…たぶん」


「剣道好きか?」


「……うん」


「んじゃ、やればいい」


「はい?」


「俺も弓道好きでもないし嫌いでもなくただ、暇つぶしで入部して、そっから弓道が好きになった。お前も初心にまた戻ってとりあえずやってみればいーんじゃねえの?」


「………」


「ま、何にしろ下ばっか向いてんなよ!見えるもんも見えなくなるぜ!」


「ん……」


「ただでさえチビなんだから」


「!!!ばーかっ!!」


「はははー、その調子、その調子。じゃなきゃこっちが狂うぜ」


「う、ごめん…」


「いーって別に謝んなよ、」


「たか、」


「だからいいって」


「ありがと」


「ああ、へーい」



ある昼下がりの屋庭園。
(お前からお礼言われるなんてかゆっ)(かいてあげる)(ぎゃあああ!皮膚がえぐれる!えぐれる!!)

 
 
 

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