無理です。
「ごめん、無理です。」
「いや、僕なんにも言ってな…」
「いや、無理ですって……」
あたしの目の前には平安貴族くん(白菊くん)以外に黒いTシャツを着た男子生徒があと4人。
「部長!!葵達も!!日向さんこわがってるじゃないか!」
怖いです。だって、あたしの目の前っていってもほんとに顔と顔の距離約30pで4人が睨んでくる。
「あの…近くないですかね?」
「俺はお前とお近づきな関係を築きた…」
「いや、部長意味違いますから!!ほら、葵達も離れて!それ以上近づくとセクハラになりかねないから!!」
あたしから無理矢理4人を引きはがす白菊くん。
部長はあたしから目を未だに離さず睨んでいる。
「優詩先輩、ほんとにこのちびっこさんが強かったんスか?」
あ、ちくしょー。馬鹿にしやがったな。
「えー、小さすぎて面とどかねぇだろ。ははは」
………
「………まじちび」
白菊くんを先輩と呼ぶ彼氏らはきっと1年生なんだろう。まったく馬鹿にするのも大概にしろ、と言ってやろうとすると………
「こらっ!!!なんて失礼なことを言うんだ!!日向さんは1年生でレギュラー入りして団体、個人でいきなり去年のインターハイで優勝してるすごい人なんだよ!」
「白菊くん…」
「こんなにちっちゃくたって、剣道は面だけじゃないんだから。ちっちゃい人はちっちゃいなりに戦い方があって、それを克服したからこそ日向は優勝できたんだと思う。日向さんの努力を笑うのはゆるさないよ」
ちっちゃい、ちっちゃい言いすぎでないですかね?
「でもよう先輩、全然こいつからそんなすごい剣道ができるなんて想像つかねぇっすよ」
「なぁ、やっぱ直接見ねぇとな」
「葵、山田。人は見た目じゃないんだよ?まったくもう…ごめんね、日向さん。というわけで剣道部に………って」
「日向先輩ならさっき帰ったっすよ」
「梅山なんで止めないの!せっかく勇気出して呼び出したのに」
「部長が追いかけようとしましたが転んだので無理でした。」
「すまん!まぁまた明日だ!!」
「また明日ってなんですか!?もう呼び出しはいやですよぅ」
あたしは二段飛びで階段を下りて逃げたしていた。
無理です。
(剣道部はちょっとごめんなんですよっと、悪いね白菊くん!!)
[*Back][Next#]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!