ひとつ屋根のした。 3 …よし、こうなったらあれだ。 実家の隣の梅婆さんがハイレグ着て俺にセクシーポーズを取って見せる姿を想像するんだ!! ……………… ………… ……あ、萎えた。 急激に衰えていくイケナイ欲望に、俺は思わず安堵の吐息を零す。 ハァ〜…助かったよ梅婆さん、ありがとな。そして、変なことに使ってごめんよ…。 俺は気持ちを切り替えると、ベッドから下りて部屋着に着替えることにした。 ジャケットを脱いでカットソーとジーンズからスウェットに着替えてパーカーに袖を通しながら、これからのことを考える。 …とにかく、10日の間だけ乗り切ればいいんだ。 そうすれば里緒は実家に帰って、後はまたこれまで通りたまに会うだけの関係になる。 それまでの間は、邪な感情を持たないよう、なるべく里緒と必要以上に接近しないようにしねぇと…。 ――ふと、嵌めたままだったデジタルの腕時計を外して机に置こうとして、壁に掛けてあるホワイトボードに視線が向いた。 元カノと撮ったプリクラが貼ってあるのが目に入る。 …そう言えば、あいつと付き合ってる時、俺ってこんなに悶々としてたことあったか…? 何となく違った気がして胸がざわつく――。 …ま、単に溜まってるだけだよな。 そう結論付けると、自分の持て余す若さに嘆息しつつ、俺は部屋を出た。 夕飯の準備の為にダイニングキッチンに行くと、二人掛けのミニテーブルに座る里緒の姿があった。 それも、パジャマにタオルを肩に掛けたままの寒々しい格好でテーブルに突っ伏していて、俺は慌てた。 「…ちょっ、里緒、お前寝てるのか? 髪ちゃんと乾かさないと風邪ひくぞ!?」 生乾きの髪もそのままに突っ伏している里緒の肩に手を置き、軽く揺する。 案の定、その細い肩はすっかり冷えて冷たくなっていた。 傍に屈んで顔を覗き込むと、里緒はゆっくりと顔を上げて俺を見上げた。 何故かその瞳は僅かに潤み、赤くなっていて思わず息を呑む。 ――…え、もしかして泣いてたのか…? 「……お兄ちゃん…」 動揺する俺に、里緒は小さな声で呼び掛けると、その大きな瞳をますます潤ませる。 ……ッちょーっ!! 待て待て、その目はヤバいって! 色んな意味で慌てふためく俺。 そんな俺を見て、何故か里緒は悲しそうに瞳を曇らせ、俯いた。 [*前へ][次へ#] [戻る] |