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ひとつ屋根のした。

 


 …よし、こうなったらあれだ。


 実家の隣の梅婆さんがハイレグ着て俺にセクシーポーズを取って見せる姿を想像するんだ!!


 ………………


 …………


 ……あ、萎えた。


 急激に衰えていくイケナイ欲望に、俺は思わず安堵の吐息を零す。


 ハァ〜…助かったよ梅婆さん、ありがとな。そして、変なことに使ってごめんよ…。


 俺は気持ちを切り替えると、ベッドから下りて部屋着に着替えることにした。


 ジャケットを脱いでカットソーとジーンズからスウェットに着替えてパーカーに袖を通しながら、これからのことを考える。


 …とにかく、10日の間だけ乗り切ればいいんだ。

 そうすれば里緒は実家に帰って、後はまたこれまで通りたまに会うだけの関係になる。


 それまでの間は、邪な感情を持たないよう、なるべく里緒と必要以上に接近しないようにしねぇと…。


 ――ふと、嵌めたままだったデジタルの腕時計を外して机に置こうとして、壁に掛けてあるホワイトボードに視線が向いた。

 元カノと撮ったプリクラが貼ってあるのが目に入る。


 …そう言えば、あいつと付き合ってる時、俺ってこんなに悶々としてたことあったか…?



 何となく違った気がして胸がざわつく――。


 …ま、単に溜まってるだけだよな。


 そう結論付けると、自分の持て余す若さに嘆息しつつ、俺は部屋を出た。



 夕飯の準備の為にダイニングキッチンに行くと、二人掛けのミニテーブルに座る里緒の姿があった。

 それも、パジャマにタオルを肩に掛けたままの寒々しい格好でテーブルに突っ伏していて、俺は慌てた。


「…ちょっ、里緒、お前寝てるのか? 髪ちゃんと乾かさないと風邪ひくぞ!?」


 生乾きの髪もそのままに突っ伏している里緒の肩に手を置き、軽く揺する。

 案の定、その細い肩はすっかり冷えて冷たくなっていた。

 傍に屈んで顔を覗き込むと、里緒はゆっくりと顔を上げて俺を見上げた。

 何故かその瞳は僅かに潤み、赤くなっていて思わず息を呑む。


 ――…え、もしかして泣いてたのか…?



「……お兄ちゃん…」


 動揺する俺に、里緒は小さな声で呼び掛けると、その大きな瞳をますます潤ませる。


 ……ッちょーっ!!

 待て待て、その目はヤバいって!


 色んな意味で慌てふためく俺。

 そんな俺を見て、何故か里緒は悲しそうに瞳を曇らせ、俯いた。

 

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