ひとつ屋根のした。
12
…それから、順番にシャワーを浴びて、ようやく昼飯にありついた時には、もう午後3時半を過ぎていた。
「スパサラ、美味しいー!」
里緒がフォーク片手にもぐもぐと美味しそうに食べる姿に、頬が緩む。
何でも美味しそうに食べる女の子は、それだけで可愛さがアップすると思うのは、俺だけか?
まぁ、里緒は別格だけどさ。
「…そう言えば、優里絵さん、仕事終わってから顔出すって言ってたよな」
ふと思い出して、スパサラに入れたきゅうりをフォークで刺しながら、俺は前の席でオレンジジュースを飲む里緒に訊ねた。
「……」
「…? 里緒?」
返事がないのを不思議に思って顔を上げる俺の目に、グラスを両手で握り締めて俯く里緒の姿が映った。
「どした? …疲れたか?」
何せ、今日だけで二回もしちまったからなぁ…さすがに無茶し過ぎたか…と、内心ちょっと反省する俺に、里緒はぷるぷると小さく首を振った。
どうやら、疲れた訳ではないらしい。
「…どっか痛いのか?」
心配になって里緒の頭をそっと撫でながら顔を覗き込んで窺うと、里緒は拗ねたような瞳で、俺をちらりと上目遣いで見つめた。
「……あのね」
「うん?」
「前から気になってたんだけど……」
里緒はそう呟くと、両手で持ったオレンジジュースの入ったグラスに視線を落とす。
どうやら、まだ話すのを躊躇っているようだ。
「どした? 気になってることがあるなら訊いていいぞ?」
それで里緒が安心するのなら、全然構わない。
そう思って、優しく微笑んで見せる。
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