ひとつ屋根のした。 3 思わず脳内で叫んでしまい、ハッとする。 いかんいかん。 変態じみた妄想に悶えてる場合じゃねぇ。 俺は、俺の思考の端っこにちょこんと座り込み、潤んだ瞳で俺を見詰めるハムスター里緒から無理やり意識を引き剥がすと、腕の中ですやすやと寝息を立てる現実の里緒をベッドまで運んだ。 寝室にしている部屋の広さはタタミ六畳分。 その部屋をほぼ半分占領しているのは、キングサイズのドデカいベッド。 俺の身長がデカ過ぎるせいで合うのがこのサイズしかないからなんだが、横幅は特にデカ過ぎる訳じゃないので、二人は余裕で寝られるこのベッドは、正直、独りで寝るには広過ぎた。 「よいせっと…」 その広いベッドに里緒を寝かせると、華奢な里緒の細さがなお引き立つ。 …どうせなら、もうずっとこっちでよくね? 俺とこうなる前は、里緒はリビングに置いてあるソファベッドを使っていたんだが、これからずっとここで暮らすんなら、いつまでもあそこじゃまずいよなぁ。 いつ、誰が訪ねてくるか判らない。 そして、訪ねて来た客人を通すのは、リビングとして使ってるあの部屋なんだ。 最初は10日だけの予定だったから良かったけど、これからずっととなると、女の子である里緒をそんな部屋で毎日寝泊まりさせる訳にはいかない。 かと言って、俺がソファベッドで寝るには無理がある。 元々、誰かが緊急に泊まることになった時の為のソファベッドなので、普通サイズなんだ。 俺だと、せいぜい寄りかかって寝るくらいしか出来ねえ。 ――と、なると。 答えはひとつ――。 俺は笑みを浮かべて、気持ちよさそうに眠る里緒の可愛い寝顔に口付けた。 …毎日同じベッドかぁ。 里緒が風邪の時は、同じベッドで寝てても我慢出来たが、治っちゃったら自信ねぇなぁ…。 浮かべた笑みを苦笑に変えると、俺は小さく呟いた。 「…頑張れよ、俺の理性」 [*前へ][次へ#] [戻る] |