ひとつ屋根のした。
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――…お兄ちゃんが眠ってしまったことに気付いて、私はそっと抱き付いていた身体を離した。
目の前には、大好きなひとの寝顔。
熱の所為でいつもより赤らんだ、端正で綺麗な顔は、眠っているとちょっと可愛く見えて、私は思わず綻んでしまう。
「……お兄ちゃん…」
起こさないように、小さな声で呼んでみる。
勿論、気付かないのだけど、それでも呼んでみたくなったの。
見とれちゃうくらい綺麗な顔をした、格好いいお兄ちゃん…。
私は、お兄ちゃんの色素の薄い柔らかな髪にそっと触れてみた。
ふわりと指に絡む、ダークブラウンの髪…。
少しだけクセのあるお兄ちゃんの髪は、元々茶色っぽくて、そのせいで学生時代は色々大変だったらしい。
私の髪は黒くて、何のクセもない真っ直ぐな髪だから、お兄ちゃんの髪が羨ましい。
以前はそう思っていて、お兄ちゃんに言ったら苦笑いして話してくれた。
…そして、言ってくれた。
“俺は、里緒の髪、すげぇ綺麗で好きだよ”
って…。
そして、優しく髪を梳くように頭を撫でてくれて。
お兄ちゃんのおっきな手が温かくて優しくて、すごく嬉しかった…。
……でもね…。
最初は、どう接したらいいか解らなくて、すごく不安だったの。
華月のお家で一緒に暮らしたのも一週間くらいだったし、私は中学からずっと女子校で、同じくらいの歳の男のひとと話したことなんてあまりなかったから。
それに、お兄ちゃんはこんなに綺麗で格好いいから、何だか恥ずかしくて…ッ。
…だから、本当は、『お義父さんとお母さんが新婚旅行で留守の間、お兄ちゃんの所に居なさい』って言われた時、ものすごく困ったの。
どうしようどうしようって、パニクっちゃったんだよ?
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