[通常モード] [URL送信]

ひとつ屋根のした。
18




 「それじゃあ申し訳ないのだけど、里緒、あとお願いね! 荷物とかはまた少しずつ和真さんと運んでくるから。 吾妻クン、美味しい朝ご飯を有難う! また仕事の帰りに顔出すから、ゆっくり休んでね。お大事に! それじゃあ私、仕事に行くわね!」


 「いや、こっちこそ有難う。親父にもよろしく言っておいて。気を付けて行ってらっしゃい」



 綺麗な笑顔で手を振って、来た時と同じくハイテンションで嵐のように去っていった優里絵さんをソファーの上から見送ると、俺と里緒は顔を見合わせた。




 「……私、ここに居ていいって」


 「……な。びっくりな展開だよな」



 言って二人で笑い合うと、俺は里緒の腕を取って引き寄せた。その細い身体を怠い腕でやんわりと抱き締めると、里緒の肩口に顔を埋めて吐息混じりに呟く。



 「…はあ〜…いやぁ…ホント、里緒の風邪のおかげだな…」


 「…うーん…、ちょっと複雑だけど…」




 “…嬉しいから、いいや”



 囁くように言って、頬を染めて笑う里緒。

 それが嬉しくて、くすぐったくて…。



 …ずっと一緒に居られるんだ、と安心した俺は、やっぱり何だかんだ言って色々と気を張っていたらしく、熱のせいもあってそのまま静かに眠りへと落ちていた…。










 ――…眠りの先で見た夢は、



 泣きたくなるくらいに甘くて、優しくて…




 そしてどこか、懐かしい夢だった…――。





《第三章に続く》


↑ランキング参加中!

[*前へ]

18/18ページ

[戻る]


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!