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ひとつ屋根のした。 19 え、な、なんでだ――！？ 「り、里緒！？ 大丈夫だぞ？ 俺、もう里緒に変なことしないから…」 「…っだから、違うのぉ…っ〜〜」 必死で泣き止まそうと宥める俺に、里緒は抱き付きながら言った。 「こ、怖いのは、私、はじめてだから、お兄ちゃんに、き、嫌われたらどうしよう、って…」 ―――…へ？ 「…ち、ちょっと待て。なんで、お前が初めてだと俺が嫌うんだ…？」 むしろ、誰にも触れられてないって思って嬉しいくらいなのに。 思わず呆気に取られ、泣きじゃくる里緒の背中を撫でながら訊ねた。 「……だって……」 くすんと洟を啜り、里緒は恥ずかしそうに眉を下げて俺を上目遣いに見上げる。 その色っぽい表情に不謹慎にもどきりとしながら、俺は里緒の言葉を待った。 「わ、私……、お兄ちゃんにあんなこと、出来ないから…」 「…あんなことって？」 何となく、里緒が何を言わんとしているのかが解って、俺の心臓が早鐘を打ち出す。 頬を染めて恥ずかしそうに俯く里緒。 言いにくそうに唇をきゅっと噛んで、長い睫毛を震わせる表情がぞくぞくするくらいに色っぽくて、堪らなく可愛い。 「……里緒」 優しく耳元で名前を囁いてやると、里緒は切なそうに瞼を閉じて頬を更に染め、ふるりと身を震わせた。 ―――もう本当に、我慢の限界…。 「…っあ、」 抱き締めていた細い身体をもう一度ベッドに押し倒し、俺は上から里緒を見詰める。 「……俺、お前の兄ちゃんだけど…、里緒の彼氏になっても…いいか？」 涙で濡れた白桃のような頬をそっと撫でながら確認するように訊ねる俺に、里緒は拗ねたように唇を尖らせ、涙声で訴えた。 「…私、お兄ちゃん以外の彼氏なんて要らないもん…っ」 ［*前へ］［次へ#］ [戻る]  |