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 乱れた息を整え、一度大きく深呼吸をすると、吾端はドアの鍵を開けてそれをゆっくりと開いた。



 見慣れた我が家。


 一軒家の吾端の家は、玄関を入ってすぐに廊下が伸び、廊下の途中の左側に風呂とトイレ、右側に六畳の和室がひと部屋ある。

 廊下の先には広い台所があり、左手に流しが、そして台所の更に先に洋間がひと部屋あり、台所の右手にもうひと部屋、六畳の和室があった。


 つまり、廊下の途中に和室がひと部屋、台所を通過点として廊下から見て左手に流しが、正面に洋間が、右手に和室がもうひと部屋の、計3部屋あるのだ。


 普段、吾端は一番手前の和室を自室として使っていて、もうひとつの和室を応接室兼茶の間に、洋間を客室にしている。



 最初の夜、莉緒はもうひとつの和室、つまり茶の間に布団を敷き、寝かせた。

 その部屋と吾端の自室である和室は襖で仕切られていて、何かあったらすぐに対応できるからだった。


 しかし、莉緒がここに同居することが(一応)正式に決まった以上、彼女をいつまでも茶の間で寝かせる訳にはいかない。


 よって、莉緒には客室である洋間が与えられた。


 洋間なら、ベッドだし、家の中で一番奥まった部屋なので、気分的にも落ち着くだろうと吾端は思ったのだ。



 ――だがしかし。



 てっきり自室の洋間に居るものと思ってドアをノックするも、莉緒の返事はない。



 ――まさか。



 吾端の中に緊張が走った。



 

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