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 やっべ! 莉緒、腹空かせてるよな!


 複雑な心境に苛まれながらも、吾端は家で待つ莉緒を思い出し、慌てて買い物袋を掴むと公園を飛び出した。



 あーもう、今日は特製親子丼にしようと思ってたのになぁ…。あれ、普通より工程が多いから時間が掛かるっつーのに…。


 吾端は夜道を駆け抜けながら、帰ってからの手順を考え巡らす。


 ――まずは、莉緒の生存確認だ。

 あいつは『たくさん貰ったから当分は平気だ』なんて言ってたけど、目の前でぶっ倒れるのを見ちまった俺としては、無事な姿を見ないことには安心出来ない。

 場合によっては、飯より先に俺の血をやることになるかもしれねーし。



 ――そこまで考えて、不意に吾端は思い出してしまった――。


 ――最初の朝、倒れた莉緒と交わした、熱い口付けを――。


 柔らかく絡んでくる莉緒の熱い舌――


 乱れた美しい深紅の髪の手触り――


 花のような香りのする、莉緒の柔らかな肉体――。




 そして――その莉緒を押し倒し、暴いた胸元に口付けた自分を―――。





 「―――…ッ!!」


 吾端は一気に赤面するのを感じた。


 うわ…っ、俺…!

 今更だけど…本っっ当ーに! 今更だけど…っ!

 思い出してみると、めちゃくちゃエロいこと、あいつにしちまったんだ…!!!



 あまりの恥ずかしさにその場で頭を抱え座り込む吾端。

 走ったせいか、はたまた思い出した行為のせいか、打楽器のように打ち乱れる心拍音が吾端を更に追い詰める。



 

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