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 それを行うことに罪悪感が無い訳はない。


 でもどう考えても、今の私に出来ることはこれしかない。


 これまで通り、吾端と暮らして行く為には、どうしても必要なんだ。






 ――あいつの中でさえ、私とのことを“無かったこと”に出来れば――。



 そうすれば、たとえ私の中にあいつと触れ合った記憶が残っていても、二度と再び触れ合わなければ、きっと――私も以前の私に戻れるから。



 ――いや、戻らなきゃいけないんだ。






 ――吾端を好きになる前の私に――。








 「……っ…――」




 込み上げる涙と嗚咽に、私は手のひらで顔を覆う。



 ……エゴだってことは解ってる。


 本当はこんなことすべきじゃないってことも。


 する必要がなければ、どんなにいいか、とも――。





 それでも私はやらなければならない。


 元々、吾端には必要無かった出来事なんだ。




 …だから、許して欲しい――。




 私は涙を拭くと、箸を取って弁当箱に突き刺した。




 美味しい筈の吾端の弁当は、何の味も判らないまま、私の胃に収まった――。










 食事を終え、身体が元の状態へと幾らか回復すると、私はまどかから受け取った紙袋を開けた。


 中には可愛いくラッピングされた丸い容器に入った、手作りだというゼリーが入っていた。



 しばし考え、私はそれを処分した。


 とてもじゃないが、食べる気にはなれなかった。



 「………彼女が悪い訳じゃないんだけどな」



 小さく落とした呟きは、禍々しい程に自虐的だった。





  ―――カタン…




 

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あきゅろす。
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