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小説
01
キィ、という自転車特有の音を聞きながら歩く崖道。

一応道はちゃんと舗装されているが、ガードレールの向こう側は断崖絶壁で落ちればまず命はない。

「はぁー……」

息を吐くと、息は白く染まる。今の季節はなぜだか物悲しい冬。

ふと空を見上げれば、忌々しいほどに星々が輝いていた。

私は今年で19歳になる。当然ながらもう夢見がちの少女ではなくて、もう立派な大人の仲間入りだ。

今は短大生だが卒業なんて直ぐで、卒業したら社会人になる。

こんな私だって中学生ぐらいの時は本気で本の世界に行きたいと思っていたが、今となっちゃあ痛々しい過去で、その時の自分を殴ってやりたいと思うくらいには黒歴史だ。

そんなことを考えていたから罰でも下ったのだろうか。

突然足場が無くなり私の身体は崖へと滑り落ちる。

悴み、震える手で必死に何かを掴もうと必死になるが手は宙をかくだけ。

私の身体は重力にしたがって真っ逆さまに落ちていく。

内臓を引っ掻き回されているような感じがした。気持ちが悪い。

なんて、呆気ない最期なんだろう。

瞳から涙が零れる。

まだ生きていたいんだよ。

そう、強く願った時私の視界は眩い白が覆った。



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あきゅろす。
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