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こねた
昼休み合戦(官兵衛)
この話は戦国BASARA3オフィシャルアンソロジーコミック学園BASARA2の黒田官兵衛の設定にときめいて作ったものです。三次創作となるのかな、と思いましたので、注意書きを付けました。
そういうのが苦手な方はお逃げ下さい。

※上記アンソロジーを読んでいなくても読めます。










黒田官兵衛はいつもツイていなかった。ツキの星に見離されているといっていいだろう。
だが、ある日突然気づかないうちに手枷とタイヤがつけられてしまってからというもの、ますます黒田の運がなくなった気がするのはきっと気のせいじゃないだろう。
その日も黒田は飛んできたボールが頭に当たるわ、それで倒れたところを踏まれるわで全くといってツイてなかった。

それで漸く迎えた昼休み。
さあ弁当を食べるかと蓋を開けたところで黒田は声をかけられた。

「黒田」

弁当から顔を上げるとそこにいたのは確か秋人とかいうやつだった。ハーフだかクォーターだかで生れつきの金髪に水色の目で、憎らしいことに日本人離れした美形だった。それに妙な方言を使うらしいとも聞いていたが、黒田は秋人とまともに話したことはなかった。
そんなやつと話すことはない。

「なんだお前さん、小生は今忙しいんだ」

近くで見ると確かに整っているその顔にウンザリとしながらしっしっと手を振ってそいつを追い払う。
それに忙しいのも事実だった。
うっかりつけられてしまったこの手枷のせいで黒田は思うように箸が使えず弁当がなかなか食べられないため、黒田にとって昼休みは戦も同然だった。

しかし、そんな黒田の戦を邪魔してきた秋人は依然として前に立ったまま黒田の弁当を指差す。

「それ、寄越せや」
「は?」
「どうせ黒田はまた時間内に食えんじゃろ。だからワシに寄越せ言うとるんじゃあ。そんなことも分からんたぁブチにぶいのー」

ガタガタと黒田の前の席を引いて本来座る向きとは逆に座ってこちらの顔を見つめる秋人に、黒田は呆けるばかりである。
それでも弁当に手が伸ばされた瞬間ハッとした黒田は怒鳴った。

「嫌じゃ!これは小生の弁当なんだからな!一品たりとて渡さんぞ!」

すると、今度は秋人が呆けた顔をした。そして次にはムッとしたような、それでいて可笑しくてたまらないといった顔になる。

「誰がそんなこと言うたっちゅーんじゃ。ワシが寄越せ言うとるんは箸じゃけぇ、弁当は食わん」
「へ?そうなのか?」
「ほうじゃ。黒田は早とちりさんじゃのー」

ハハハとやけに面白そうに笑いながら「ほれ寄越せ」と箸を引っ張られる。黒田も、箸ならいいか、と手を放した。

「よし、えぇ子じゃ」
「……って、箸がなけりゃ食えないじゃないか!返せっ!」
「はっはっ、ホンマにおもろいのー黒田は」

箸を取り返そうと手を伸ばすがヒョイと避けられて体勢を崩す。
そのすきに箸で黒田の弁当の中から里芋がつまみ上げられた。
食われるわけにはいかないと慌てた黒田は思わず、丁度良い高さまで持ち上げられていたそれにパクンと食らいついた。

「ひょうへいらってなぁ、ひゃるときはやるんだよ!」

ついでに得意げにフフンと笑ってやった。

それなのに、それを見て地団駄踏んで悔しがるはずだった秋人が、今度は米を箸で持ち上げる。

「ほれ、あーん」
「は?」

疑問の声を上げたために開いた口の中へヒョイと箸が入れられて米だけを口に残して出ていく。

「次は何がえぇかのー。黒田は何がえぇんじゃ?言うてみぃ」
「え、え、そうだな、もう少し米が食べたい気分……って、いかん流された!」

あまりにも自然にしている秋人の雰囲気にのまれそうになった黒田は頭を振って自分を取り戻そうとする。
だが、そんな黒田の様子に気づいているのかいないのか、秋人は呑気な声を上げる。

「ほいじゃばっかし食べになるけぇ、だめじゃ。食事のマナーも出来ん黒田はホンマあかんちょじゃのー」
「あ、あかんちょ!?」
「ほれ、次は卵じゃあ、食えや」


そのまま黒田に話す間も与えないペースで食べさせられ続け、「ほい、ごちそーさんでしたぁ」とごちそうさままでさせられた。

しかし、この日黒田は久しぶりに弁当を完食できたのであった。

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