学園の王子様!(なんだか、おかしい!) 松永久秀の場合! 私が王路に出会ったのはもう随分と前になる。 朝にゴミを出すのが面倒で夜に出していたところを彼に注意をされたのだ。 「ゴミは朝に出してください。それと明日は可燃ゴミの日ですよ」 分別などしていない私のゴミを指さしてそう言った彼に、さてどのような破滅を贈ろうか、と思いあぐねた。 だがどういう訳だろう。 私はそのまま出したゴミを持って帰り、次の日の朝にはしっかりと分別したゴミを出していた。 私は餓鬼でもうつけでもない。 だから素直に認めよう。 私はこの歳になって、恋をした。 しかも親子ほども歳の離れた相手に。 いやァ、愉快、愉快。 「あ、松永さん、今日もお早いですね」 「卿も早いな」 ゴミを出しに行くと同じくゴミを出しに来た王路に会った。 それも当然。 王路に会えるように時間を見計らって出て来ているのだから。 「ああ、そういえば俺、今週の日曜に河原でゴミ拾いのボランティアに参加するんですが、なかなか人が集まらなくて」 松永さんも一緒に如何ですか、と王路は人懐こそうな笑みを浮かべた。 御苦労なことだ。 ボランティアなど偽善の塊に参加するとは。 当然だが、この悪虐非道の梟雄と言われる私がそのような行事に参加する訳が…… 「そうだな。私も参加させて貰おうか」 口と喉が謀反を起こした。 どうしてくれよう。 「本当ですか!ありがとうございます!松永さんって本当に善い人ですね!」 だがまあ、王路が嬉しそうにしているし、王路と休日に会う口実も出来たことだ。 あとはゴミ拾いに現れた私を見て阿鼻叫喚する者共の面でも想像して、日曜まで待つとしよう。 私がいい人だったという結末などないよ。 (いい人な、久秀さん!) [*前へ][次へ#] [戻る] |