学園の王子様!(なんだか、おかしい!)
長曾我部元親の場合!
今日も俺は喧嘩に駆り出されていた。
幼い頃に大人しかった反動なのか、いつしか荒くれ者を統率するようなほど強くなり、今の俺は仲間からは兄貴、他の連中には鬼と呼ばれ、喧嘩三昧の毎日だった。
おかげで、本来なら高校三年生になる俺だがロクに授業に出なかったせいで留年して、二年のままだ。
まぁ、俺らの間じゃぁ、留年や停学なんて、むしろ箔が付くってもんよ!
それに留年したおかげで王路にも出会えた。
喧嘩に巻き込む訳にもいかないから学校でしか話した事ァねぇが、気の利くいかした野郎だった。
「よそ見すんじゃねぇ!」
王路のことを思い出していると、顔面に拳をくらった。
しまった喧嘩の最中だった。
口の中に広がる血の味に舌打ちをする。
そしてこちらも拳を唸らせ、
「何しやが、」
「何してんの」
凛とその場に響く声。
「王路……?」
まさかと思ったが、振り向くと先程まで思い浮かべていた王路の姿を見つけた。
何でここに王路が……。
いや、それよりも王路を巻き込んだらマズイ。
しかし。
「王路さん!」
「王路さん、これは、その……」
王路を見た相手連中が急に慌てだした。
なんだ?知り合いか?
「前に、いい子になるって言ったよねぇ?」
「っっ!スイマセンッしたぁっ!」
王路が一言声を掛けただけで慌てふためいて逃げ出していく奴らに、俺は訳がわからなくなる。
何だ?なんだ?王路って何者だ?
「元親、」
呼ばれて振り向くとすぐ近くに王路がいた。
「元親、顔に怪我してる」
スッと王路の手が一瞬、頬を優しく撫で、そしてすぐに離れた。
「勿体ないよ。折角、綺麗なのに」
ぶわわっと全身の血が沸いた。
その次の日薬局に駆け込んだ俺は、今の顔を維持するためのフェイスケア用品を片っ端から買い込んだ。
これが鬼の名を持つもんの実力よう!
(草食系な、元親さん!)
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