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キャパシティオーバー(男体化攻め寄り主人公夢)
12月24日昼過ぎ

「Hey!緋呂!今日は何の日か知ってるか?」

12月24日、右目君を引き連れた政宗君が派手なパイプの付いた軍馬で訪れ、開口一番そう聞いてきた。
今日は何の日か、というと、クリスマスイヴである。
つまり。

「真昼間から酒が飲める日だね!」

クリスマスイヴに男共が集まってすることと言ったら酒盛りしかないよね!

「成程、それで緋呂の元に訪れたのですか。それならば事前に言っておいて下さればこの小十郎、酒を用意しておきましたのに」
「NO!違うぞ小十郎!意気揚々と不正解を言うな緋呂!」
「では、聖なる夜を賭けた命懸けのレースで峠のコーナーを攻める方かい?」

政宗君の乗ってきたまるでバイクみたいな軍馬を指してそう問えば彼は「うっ」と戸惑うような声を出した。

「そ、れはattractiveな……いや!違ぇ!そうじゃねぇ!」
「では君は今日が何の日だと言うのだね」
「今日はChristmas Eve!恋人とmake loveする日だろうが!」
「…………」

厭味か!僕がイヴの日に一人で過ごしてるから!
政宗君なら年中和服美女がより取り見取りだろうしな!
まあ、僕は元女だからそれを羨ましがったりは……しない。うん。

「そういう訳だから今日俺と過ごそうぜ!緋呂!」
「なっ、ま、政宗様、それは……」

馬鹿にするようなニヤニヤ笑いを浮かべて誘ってくる政宗君にちょっとムッとする。
右目君も戸惑ってるじゃないか。

「……悪いが。今夜は人と過ごす約束があるのだよ」
「W...What!?どういうことだアンタ!だ、だだだ誰と!一体誰と過ごすんだ!?」
「まさか猿飛じゃねぇだろうな。それとも風魔か?毛利かッ!?」

ちょっとした意趣返しのつもりで今晩の予定を恋人との約束みたいに言ってみただけでいきなり憤った双竜に僕もたじたじである。
……種明かしするか。

「今夜共に過ごすのは、刑部君だよ」
「No kidding!嘘だろ大谷かよ……!奴はNo markだったぜ……」
「……今からでも遅くはねぇ!俺と!……いや、政宗様か俺と!過ごせ!でなけりゃ袋叩きにしてでも止めてやる……!」

怖っ!?なんだか誤解が深まってしまった!
「……二人共落ち着いてくれ。刑部君と僕は恋仲とかそう云う関係では無いよ」

慌てて誤解を解こうとそう言うと二人は目に見えて落ち着きを取り戻した。

「なんだ、そうかよ……驚かせやがって。……ま、確かに?すっとぼけてるアンタ相手じゃ大谷みてぇな奴は歩が悪ぃか」
「……なんのことかな」
「さぁなァ?」

意味ありげに目線を送ってくる政宗君に何故かソワソワする。

「……大谷とのappointmentは夜なんだろ?だったらそれまで俺とdateしようぜ?」
「……僕は君より君の腹心の方が好みだ。二人きりで過ごすなら彼との方が良いね」

何の気無しにそう言ってみると、政宗君よりも先に右目君が反応した。

「政宗様の溢れ出る魅力がわからねぇたぁ、緋呂、てめぇ見る目がねぇな」
「……君は、僕と過ごすのが嫌なのかい」
「そ、ういうわけじゃぁねぇが……」

右目君は優しいなぁ。

「俺の前でなにイチャついてんだ。小十郎、緋呂」

じとっとした目で政宗君が睨んできた。怖い。

「まっ政宗様、そんなことは……緋呂、てめぇも何とか言いやがれ」
「僕は君とならイチャついても良いけれどね」
「ッ!?」

この手の冗談は苦手なのか右目君が茹蛸みたいに真っ赤になる。

「Shit!もういい!緋呂!小十郎とsetでいいから俺の相手をしやがれ!」

ぐいっと顎を引き寄せられて目の前で怒鳴られた。
政宗君の赤い舌と尖った犬歯がよく見える。
その口の中に手を突っ込んで政宗君を黙らせてから、僕は立ち上がった。

「分かった。では、酒を持って来るよ」
「結局酒か!アンタX'masをなんだと思ってんだ!」

それはお互い様だ。







まずい。どうしよう。
この展開は予想していなかった。
迂闊……!

でもだってまさか双竜両方が真昼間から酔っ払うとは思わなかったんだ……!
飲み慣れない酒では己の容量が測れなかったのだろう、やれ炭酸が面白いだの色合いが綺麗だの言ってどんどん空けるので、気づけば二人共完全に酔っ払っていた。
初めは甘いのを避けていた二人が甘いのも飲み出した時に気づくべきだった……。

「緋呂ッ、まだわからねぇってのか、あ゛?俺か政宗様かどちらかの所に来いや!俺は政宗様が天下平定をブチ噛ますまで心惑わす色恋沙汰は御免だがなァ、てめぇがフラフラしてるせいで落ち着くもんも落ち着かねぇんだ、分かるかゴラァ゛!チッ、てめぇ俺をこんだけ惑わすたァいい度胸してんじゃねぇか緋呂……覚悟はいいか?」

だけど右目君のこの豹変ぶりは予測出来ないだろう!
覚悟はいいか?とか言いながらまた着物を脱ぎだそうとする右目君を必死に止めながら思った。

何を隠そうこの右目君はさっき一度真っ裸になったのである。何も隠してなかったのである。
今はかろうじて帯代わりの紐をかた結びで解けない様にして浴衣を着せているが、上半身は脱いでしまった上に、ノーパン基ノーフンドシである。
そんな状態の右目君がやたら顔を近付けてくだを巻いてくるもんだから僕はお手上げだった。

そして問題なのはこの男だけではない。

「なぁなぁ緋呂ー緋呂ー、俺だってもうハタチになったんだぜー?緋呂の国でも、もー俺アダルトだろぉ?なぁ?だからきしゅくらいしたってノープロブレムだ!きしゅみーぷりーずっ。イヤなら俺からしゅるから足どけろよぉ、いてぇよぉ……」

政宗君がグズッと鼻を啜りながら呂律の回らない舌でそう言うせいで思わず彼の腹から足をどけそうになるが、寸でのところで思い止まる。
さっきそれでうっかり足をどけてしまい膨ら脛にキスマークをつけられた。
今の僕の体はちょっとやそっとじゃ鬱血なんてしないのに、すごい吸引力である。さては前世が掃除機か。

そう、政宗君の方はキス魔だった。
いきなり唇を狙われて、咄嗟に避けたがそれから絶えず彼はキスを狙ってくる。
彼を手で押さえつけていると顔が近くてすぐ唇や首を狙われてしまうため、今は彼の腹を足で踏み付けてキスを防いでいた。
力を強める度に一瞬嬉しそうにする彼が怖い。


……なんで僕がこんな頑張らなくちゃならないんだ。
暴れたせいで酔いの回った僕も限界が近かった。

「緋呂、てめぇも脱げやァ」
「緋呂ーこの足どけて、きしゅしよーぜ」


「……いいよ。二人纏めて相手してあげよう」




次に気がついたのは夕方で、僕は二人から解放されていて、遠くからは二人の叫ぶ声が聞こえた。

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