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キャパシティオーバー(男体化攻め寄り主人公夢)
アマクナイ
「緋呂……実は相談したいことがあるのだが」

三成君の部屋で小太郎君と三成君と三人でおやつを食べているとサンデー君が入ってきた。
ちなみに今日僕はチョコの気分だったのでチョコを持って来たのだが、「蛮族の菓子など食べるな!私の前で食べるならば日の本のものを食べろ!」と三成君に言われたのでおとなしくチョコは脇に置いて羊羹を食べている。
羊羹も元は中国の物だが全く別物になっているからいいのだろう、三成君もおとなしく食べていた。
で、なんだっけ。
サンデー君が相談と言った気がするんだけど、そんな訳ないしな。
サンデー君とはいえ、元は毛利元就だし相談とかありえないよね。耳遠くなったかな。

「私の部屋に何の用だ。サンデー毛利」
「貴様になど用はない。我は緋呂に相談に来たのだ」

ギンッと睨みながら言う三成君にフンッと上から見下ろしながら言う元就君。
……っていうか、サンデー君やっぱり相談って言ってる気がする。相談という名の命令とかなら有り得るかもしれないけど……。

「貴様など緋呂に嫌われてしまえばいい!」
「さすが、既に嫌われておる者の申すことは重みが違う」
「なんだと……!」

なんか仲悪いな、三成君とサンデー君。ザビーと覇王秀吉も相容れないといった感じだったし、仕方ないのか。
まあ、単純に相性かもしれないけど。

「僕は嫌ってなどいないし、君たちを嫌うことはないよ。それよりサンデー君、何の用だい」
「相談に来たのだ。ザビー様に会えぬ今、そなたで妥協するしかあるまい。ザビー教の信者拡大が為の手段について、我ではどうも上手くゆかぬのだ」

……相談だった。
ザビー教の信者拡大には気が乗らないが、せっかくサンデー君が相談してくれたんだから力になりたいところである。

「蛮族に日の本を明け渡す気か……!」
「三成君、ここは敵を探り主導権を握る軍師となったつもりで大人しくしていてくれ」
「握る……!軍師……!」

何かが彼にヒットしたらしく、三成君は大人しくなった。
と思ったら小太郎君が寄ってきて僕の袖をグイッと引っ張った。

「……?……!」
「大丈夫」
「…………」

ザビー教には入信しないよ、という意味を込めて小太郎君の頭を撫でたら上手く伝わったのか、元通り座り直してくれたが、サンデー君を睨んでいるようだ。
それを一瞥したサンデー君は僕の方を向いて口を開く。
「もう話を始めてよいか」
「ああ」


サンデー君の話によると、サンデー君の策によって入信した信者の数が思うように伸びないらしい。
正確には入信したものの脱走してしまう場合が多く結果として数が少ないようだ。

「手駒は多いに限る。だがどうにも上手く行かぬのだ」
「具体的にどう勧誘しているのだい」
「入信書に名を記すまで叩く」

……。
そりゃあムリだろうな。逃げるわ。
……っていうかサンデー君が暴力に偏った勧誘をしているとは思わなかった。
僕には色仕掛けとかしてきてたのに。

「勧誘の仕方を変えてみてはどうだい」
「具体的にどう変えるのだ」
「例えば……」

……思いつかない。
宗教の勧誘なんてしたことがないからさっぱりだ。
丁度その時ゴーグルに素早く動く点がまっすぐ向かって来ているのを見つけ、あー佐助君が甲斐から戻ってきたみたいだーと現実逃避してみる。
そういえば佐助君最近ここにいる時間が減ったんだよね、仕事かな。いやそもそもここに来るのが仕事だったんだっけ?
佐助君って仕事頑張ってるよね。糖分って疲労回復にいいんだっけ。
羊羹は食べちゃったけどチョコがあるから、佐助君がここに来たらあげよう。
……ん?待てよ、これって初歩だけど勧誘に使えるんじゃないか?

「緋呂さーん?みんなして集まって何やってんの?」
「丁度良い時に来たね。佐助君、此方に来てくれ」

ひょこっと顔を出して現れた佐助君を手招きして手の届くところまで呼ぶ。

「口を開けてくれ」
「へ」

彼の口にチョコを放り込んだ。
彼が飲み込んだのを確認してからその唇を人差し指でつつく。

「君が今食べたのは僕の心のかけらだ。たった今君の体の中に僕が注ぎ込まれ、君の隅々にまで染み込んでいく」

唇から首筋、胸までを、つつ、と指でなぞり心臓の辺りで円を描く。

「だからこれからは僕がいつも君のそばにいる。君が悲しいときは僕も悲しみ、君が嬉しいときは僕も喜び、僕は君を愛し君は僕を愛す。今僕たちは一つとなったんだ」

最後に手を取って微笑んでフィニッシュ。
愛とか気恥ずかしくて僕はもうごめんだがサンデー君なら大丈夫だろう。ザビー教信者だし。
とか考えていると、凄い速さで佐助君に手を払われた。
おまけに彼は頭を抱えてうずくまってしまった。
ザビー教に染まってない佐助君にはきつかったか。
それか甘い物が苦手か。
どちらにせよ悪いことをしてしまった。

「悪いね、佐助君。さて、サンデー君、今のみたいなのはどうだい」
「へ」
「は」
「……」

何故か妙な沈黙が降りた。
小太郎君だけは僕からツイッと目を逸らし他の三人はぽかんとしている。
皆様何故ぽかんとしてらっしゃるの?
駄目だったのか。食べ物で釣るのは初歩過ぎるからアレンジ加えたのが良くなかったのか。クサかったか。
でも宗教の勧誘ってそういうものなんじゃないの?

「……成る程。使えるところが無いでもない。だが緋呂、そなたはもうそれを我以外にやるな」

一番に口を開いたのはサンデー君だった。

「勿論二度とやるつもりは無いがね。そんなに気味が悪かったかね」
「……寒気が走ったわ」

愛とかこっぱずかしいこと連呼してるザビー教のサンデー君がそういうならよっぽどかもしれない。

「……なんだ、勧誘の文句か。良……、……?」

三成君も正気に返ったようだ。何故か首を傾げているが。
小太郎君は、と見やると、いつの間に僕の手から奪ったのか、佐助君に食べさせた残りのチョコをもちゃもちゃと食べていた。
これでいまだ呆けているのは佐助君だけである。

「……」
「佐助君?」
「…………」
「その、佐助君?」
「……ッ!緋呂さんのバカーッ!」

ばっちーん、と派手に音を立てて僕の頬を叩くと佐助君はどこかへ去って行った。
なんだその反応は。

「……どうしよう」

「知らん!」「知らぬ」「……」

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