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キャパシティオーバー(男体化攻め寄り主人公夢)
コロセナイ
急遽ザビー君たちが帰ることになった。

伝令役の人に拠ると、城が鬼によって目茶苦茶にされてしまったらしい。
バサラで鬼といえば鬼島津と西海の鬼だけど、ザビー城を襲うなら後者だろうか。

「じゃあ緋呂チャーン、タクティシャーン、チャッチャと鬼をブッコロ……愛して、チャッチャとオウチに帰ってくるからネー!浮気しちゃダメヨー!」

と言ってザビー君たちは去って行った。何からツッこめばいいのか。
いいや、放っとこう。

「……ザビー教の皆が帰るとなれば随分と屋敷が寂しくなるね」
「静かになって良いであろう」

隣に立ってザビー君達を見送っていたサンデー君が鼻を鳴らす。委員長は面倒を見るのが疲れたらしい。
っていうかサンデー君はなんでまだ此処に居るんだ?

「君は帰ら無いのかい」
「我もザビー様に付き添うが最良と思うたのだがな。他ならぬザビー様の命だ。従うしかあるまい」

そう言うとサンデー君は屋敷の中へ戻って行く。
そういわれてみれば屋敷の中にもまだ三人ザビー教信者がいる。彼等がサンデー君の付き人か。
ザビー君がサンデー君を一緒に帰らせなかったのは矢張り城を襲ったのがサンデー君に縁深い彼だからだろうか。

「何にせよ、あの人達が帰ってくれてよかったよー。めんどくさいったらありゃしない」
「佐助君」
「さっきもあの人に『ニンジャーサインしてー』っていっぱい名前書かされたし」

ザビー君って自由だよね。

「ハートマークは入れてあげたかい?」
「ああ、書かされたけど、何なのそれ。緋呂さん意味知ってる?」

どうせまたくだらない感じでしょーけどと言いたげな佐助君の顔が不憫だった。

「愛を表す記号だよ。つまり君はザビー君に愛を捧げた事になるね」
「ゲッ、ヤダ何それ、ヤダ」
「……」

小太郎君がドンマイという感じに佐助君の肩をぽんと叩く。それを見た佐助君はより疲れた顔になった。

「っていうか風魔も忍びじゃない。書かされなかったわけー?」
「……」
「小太郎君は上手く逃げた様だね」
「じゃあ俺様だけ?トホホ」

ガクリと肩を落とした佐助君に笑いが止まらなかった。






そんなことがあった日の夜。
ザビー君達が帰ったせいでずっと静かになったけれど、代わりに暇になってしまった僕は何時もより早く眠りについていた。

だが、突然目が覚めた。

何故目が覚めたのか分からないまま、手探りでゴーグルを取って装着する。

……人が、一人増えているようだ。いや、佐助君が居ないとするなら二人か。
動いている点は二つ。屋敷のすぐ外で近づいたり離れたりしている。

……もしかして、戦っているのか?

それがどうした冷静になれ、と考えて、けれども気がつけばそこへと向かっていた。


雨戸を開け放って見えたのは、鎧と兜を着ている、口から鞘を落として倒れた人間に、対刀を収めた小太郎君だった。

「小太郎君!」
「……」
「怪我は!?」

駆け寄りながらそう聞くと少し間を置いてから首が横に振られる。体力ゲージも減ってないし状態異常も見られないから本当に大丈夫なのだろう。

「緋呂さーん、風魔よりそっちの御人の方がヤバいんでない?むしろもうあの世に引っ越してるかも」
「佐助君!」

後ろから声がして振り向くと屋根の上に佐助君がいた。彼も怪我はなさそうである。
二人の無事を確認して、ようやく余裕を取り戻しながら倒れている鎧の人の方に目を向けた。

「彼も……未だ此岸側に居る様だ。一体何が有ったんだ?」

問い掛けると小太郎君は腕組みを解いて首を振り、佐助君は肩を竦めて両手を軽く上げた。

「……」
「俺様も、見てたけどさっぱり。急に襲って来たぜ。どうやらそこそこ実力ある武人みたいだけどな……一体何の用で来たんだか。アンタ心当たりあるー?」
「無い」

答えながら倒れている人間に近づく。ピクリとも動かない所を見ると気絶でもしているのか。

「って、ちょっとちょっと緋呂さん、そいつ助ける気ー?俺様としちゃあ旦那や大将に仇なす可能性のある人間は、一人でも多く消しときたいんだけど」
「……」

佐助君は僕を止めようとしていて小太郎君はどちらでも良さそうにしていた。
どうしたらいいか迷って、結局自分の考えを優先して発言する。

「……悪いがそれは余所でやってくれないか」

そう口にすれば小太郎君が消えて僕と佐助君の間に現れる。
僕に背を向けているところを見ると小太郎君は味方してくれるらしい。

「ハァ……まあ、わかっちゃいたけどね」
「佐助君……」
「いいよ、今は緋呂さんの好きにして。はぁあ、俺様ってばちょー甘いね」

今は、と言ったのは、上からの命でもあればすぐに殺すつもりだからだろう。でもだからこそ。

「有難う」

今ここで譲ってくれたことが嬉しかった。

そうして、佐助君の厚意を無駄にしないためにも、倒れて動かない彼を急いで屋敷の中へと運んだ。

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