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キャパシティオーバー(男体化攻め寄り主人公夢)
コーヒーの日
「佐助君も、コーヒー飲むかい?」

ビーカーにフィルターをセットしながら佐助君に声をかける。

「こうひぃ? ああ、あの黒いのか。緋呂さんがいれてくれるの? 飲む飲む」
「ブレンドはブルマンでいいかい?」
「ぶるまん? いつものやつ?」
「ああ」

頷いて豆の入った密閉瓶を見せると、佐助君はそれを振って中身を見る。

「じゃあそれで」
「分かった」

電動ミルに豆を入れて挽くと、コーヒーの香りが辺りに漂った。

「緋呂さん、そのこうひぃ好きだね〜。他の種類の豆もこの屋敷にはあるのに」
「僕も好きだが、君だって一通り豆のままかじったあと、『これが一番かな』って言っていただろう」

お湯を沸騰させていると佐助君が寄ってきて話し掛けてくる。

「まあね。他のは酸味が強かったり香りがキツかったりだったりしたからさ」
「だろう」
「っていうか、緋呂さんってこうひぃ好きだよね」
「豆のまま食べたり常にブラックで飲む君程じゃないと思うがね。僕はいつも生クリーム入れるし」

豆のままのコーヒーを佐助君がかじったときは本当にビックリした。
そのあと僕もかじってみたが苦いやら舌触りが悪いやら散々だった。

「でもしょっちゅう飲んでるじゃない?」
「それは……まあ、そうかな」
「ほら、そうなんじゃない」
「……」

そう言われてお湯を注ぎながら思い返してみる。
と、不思議なことに気づいた。

「緋呂さん? どうしたの?」
「いや、今、コーヒーを飲む時はどういう時か思い返していたんだが、僕がコーヒーを飲む時って必ず君がいるんだ」
「え? 俺様?」

ビックリした顔の佐助君に頷く。

「そう。……どうも僕は君と飲むコーヒーが好きらしい」
「……緋呂さんってホントそういうことさらっと言うよね」
「君が喜んでくれるなら、いくらでも言うよ」
「……この人たらしめ……」

赤くなった佐助君に笑いながら、彼の分と僕の分の二人分のコーヒーを注いだ。








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あきゅろす。
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