D兄弟
10.A誕
【淡い光】
この話は、我々ポートガスDエースがまだフーシャ村を旅立つ前の、淡くも穏やかな日常の頃のお話し
ルフィとの些細な兄と弟の境が変わるお話しである
季節は暑さも一段落付いた辺りの緩く陽射しが流れ落ちる夏の終わり
今日は珍しく、兄弟揃って一山超える位置に在る湖畔の湖に今年最後の泳ぎ収めをしに来ていた
まだまだ暖かいとはいえ日が落ちるのも密かに早まり、山の梺辺りでは4時を過ぎるとうっすら薄い闇が森を覆い始めてゆく
『おいルフィ、そろそろ帰る支度しとけ』
夕暮れに気付いたエースは湖から上がると頭を犬の様に軽く振り水滴を飛ばす
『うひゃひゃひゃひゃ!気ん持ちイイ〜!って…お?兄ちゃん何で上がってんだ?早く一緒にこん中で水プロレスしようぜ!』
『だ〜から!もぅ日が落ちて来てんだって言っただろう?そろそろ帰らねぇとお前の好きな肉食いっぱぐれるぞ?ほら出た出た!』
『肉〜!!…でもまだ遊びてぇ…んじゃ兄ちゃん先行ってろよ!俺も直ぐに行くから』
『はぁ?っとに飯無くなっても知らねぇぞ?!勝手にしろ!』
未だパシャパシャ湖から上がりそうに無い弟に呆れ、エースはひと足先に家路に戻る事にした
――――――――
どの位歩いた頃だろうか?
エースがルフィの分の荷物も一緒に持ち上る山道を進んで居ると、夕焼けと森に潜む暗闇が交差し始めるのを見つめるエースは何故か急に嫌な予感が進む足を濁らせたのだ
何だか薄気味悪りぃ…
そういやあれからもぅ30分は経ってねぇか?ルフィ何やってんだよ?
軽くため息を付き、エースはやんちゃな弟の元に引き返そうと坂道を滑ろうとした矢先?!
『うわぁ〜!!!』
『ルフィ?!』
先程ルフィを残して去った湖辺りから弟の物であろう叫び声が木々の間をこだましながらエースの元に届いた
即様エースは湖畔の畔に足を向け走り出す
『ルフィー!!』
湖畔に着くと湖横の林の陰に数人の男達の姿が在り怒鳴り合う声迄聞こえる
その輪の中心からルフィの自分を探す声が聞こえ側に駆け寄ろうとすると、一番外側に居た男がエースに気付きいやらしい顔付きで無造作言い放った
『?何だ小僧?今いいとこなんだ邪魔すんじゃねぇ!…っと?テメェも良い面してんじゃねぇか…美味そうだ…ニヤ』
その瞬間何がルフィを襲おうとしているのか自身の寒気から直感したエースは、ミシミシと体の筋肉が引き吊る音がした様な気がした
『ルフィを離しやがれー!!!』
力いっぱい怒涛の叫びを上げるのをかわきりに、エースは集る男達に飛び掛かって行く
『うわっ?!何だこの餓鬼!』
周りの男達もエースの存在に気付いたが、まるで赤子を捻るかの様に飛び付くエースの足首を掴み捕ると近くの幹に投げ叩きつける
『んぐっ?!ケハッ!んの野郎?!その手を離せってんだ!!』
『小ウルセークソ餓鬼だなぁ!舐めた真似してんじゃねぇぞ!』
『離せー!!』
再度体当たりをかましたエースは先程はね飛ばされた時に掴み上げた重い木片を、よろめいた数人の男達の頭上目掛け躊躇無く降り降ろした
ガコンッ!!
『っ痛?!』
『ハァ…ハァ…』
…今だ!
『ルフィ!逃げるぞ!!』
『…兄ちゃ…?!』
『ほら急げ!!』
不意を付いた隙に丸裸で泣いて居たルフィの腕をバッと掴み引きずる様に男達の間を縫って逃げ出した
『チクショー?!餓鬼共が逃げるぞ?!早く追え!!』
直ぐ様男達はエース達を目で追うが密林の林の中ではよそ者が住み慣れたエース達に敵う筈も無く早くも煙に巻かれてしまった
エース達は男達の悔しがる怒鳴り声を後ろに聞き流し秘密の洞穴に体を滑り込ませていた
『ハァ…ハァ…もぅ追って来ないか?ハァ…ハァ…』
『えぐっ…ひぐっ…兄ぢゃぁ…』
『大…丈夫かルフィ?』
『おでっ…おでっ…ただ遊び…』
『馬鹿!云わんこっちゃねぇ!!兄ちゃんの云う事聴かねぇからこんな目に遇うんだ!!…何処も怪我して無い…?!お前腿の所?!』
『ウエッ…大人しく…てろって…ひぐっ…』
対面して座るルフィの太股の所には引っ掛かれた様な傷跡が浮かびうっすら血が赤みを帯びて滲んでいた
『チクショ!!ルフィの体に何て事しやがんだ?!』
『兄ちゃ…ごめんばさい』
俺の弟に…
俺の大事な…大事な…弟?…俺のルフィに…
今まで2人生きて来た中でルフィをやんちゃだけど放って置けない馬鹿な弟としか当たり前に見ていなかったエースだが、ルフィの傷を見て違う感情がゆるゆると身体を占め初めていた
『お前が無事なら問題ねぇさ…ほら立てるか?ってか早く服着ろって』
『分かった…って着る物ねぇよ兄ちゃん?面倒くせぇからこのままで良いよ!早く帰りてぇ』
『ばっ?!んな恰好他の奴に視られたら?!…視られたら?』
…恥ずかしい?
…また今みたいな男達に?
…何が嫌?
…ルフィの肌を視られるのが?
…俺以外が?
良く解らないモヤモヤがクルクルエースの頭を悩ませたが、とりあえず無事に事なきを得たのだ
『兄ちゃん?』
『?!良いからこれでも着てろ!』
自分の着ていたシャツを脱ぎ捨て渡すと、ルフィはまだ自分には丈の長過ぎる兄のシャツをダボッと被りいそいそと帰りの支度を始めた
洞穴から出た頃にはもぅ外は光も落ち夕闇で静まり返っている
灯りと云えば木々の隙間から小さく自分達を照らす月明かりだけだった
家路迄の道のり、今度は確実に…二度と離さないと決めた弟ルフィの手を握り温かな暖をとるべく足早に我が家を目指して行った
このモヤモヤはなんなんだろう?
ルフィを想う気持ちが恋だとエースが気付くのは、きっともぅ少し後の事だろう
―終わり―
―【あとがき】―
何とか今月中にA誕書けた(泣)(x_x;)D兄弟恋心が芽生えた日の事を書き出した筈なのに…クソ…納得いかない(泣)o(T□T)o
所詮あちきの文章力なんてこんなもんさ〜(T^T)(笑)
リベンジでもぅ一個作っちゃるクソ!(笑)
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