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副シャン
【追憶の1ページ】

何時も明るいピースメインの赤髪海賊団にだって闇や戦いは在る

略奪を仕掛けるモーガニアからの敵襲や海軍から船員を守るべく蹴散らす為の応戦、中には質の悪い輩も潜んで居たりで楽しい事ばかりではいられない

そんな中…一番辛く苦しい事態を招く戦いが…内紛…簡単に云えば仲間の裏切りだ

そして今この瞬間…心分かち合った筈の仲間の裏切りによってその者を…頭であるシャンクスが討ち取る事態に発展してしまっていた


『…ハァ……俺に…信じる力が足りなかったのかなぁ…』

ただの裏切りなら島流しや追放で事足りるのだが、今回は他のクルーにも被害が降り掛かってしまったのだ

それゆえ自らの手で…それゆえの……制裁…

手の平に握る剣から滴る鮮明な赤に、過去幾度となく感じている言い様の無い榁…
感覚等とうに無い筈の失った左手に痺れる様な寒気を覚える…仲間を失った瞬間

『………』
他に道は無かったのか?避ける為に出来る事は本当に無かったのか?こうなる他…無かったのだろうか?とやるせない心を脳裏に巡らせシャンクスは剣を腰に戻し入れる

そして反逆者とは云え仲間として過ごして来たその男の弔いの様に横たわる身体から遺品を探し出し始めた

すると、右内ポケットの中に小さな一冊の本を見つけたシャンクスは、ゆっくりそれを引き抜き表紙を虚ろに見つめた

『…絵…本?』

その時後ろのドアから現状を確認に来たベンだったがシャンクスの後ろ手でゆっくり止まった

ベンの気配を感じたのだろうか、シャンクスは振り向きもせず自分の後ろで待つベンに声を掛ける

『なぁ副ちゃん……コイツ絵本持ってたぜ』
『………』
『コレさぁ…俺がまだガキだった頃に村の人から誕生日プレゼントにって貰ったのと…同じ絵本でやんの』
『………』

そう言うとシャンクスは絵本のページをパラパラ捲り中間に差し掛かった在るページで捲る手を止めた…そこには…

―生き生きと育った葉っぱは枯れて落ちてしまうんだ
その落ち葉は腐ってぐちゃぐちゃになってしまうんだ
でもね…
腐った落ち葉は土に溶けて大地に帰るんだ
そしてやがて…輝く光を受けまた大輪の花を付けたり青々とした葉っぱを体に纏うんだよ
そうして…
命は廻るんだよ
だから命とは儚くも強くて尊い物なんだ




『…アノ頃はまだまだ難しくて直ぐに放り投げちまってた絵本だけど…今になると…俺達海賊にゃー痛い程眩しくて…辛いなぁ…』
『…それが俺達だ』
『…コイツも何か…感じてたのかなぁこの絵本で…』
『…辛いが…それがアンタの…頭としての役目だ』
『……』

解っちゃ居る…
己が好き好んで漕ぎ出した船だ…
自分で覚悟を決めて進んで来た海だ…

『…アンタの暗い闇は俺が支えてやる…報われない穴も苦しみや哀しみも俺が半分担いでやるさ…その為に俺が居るんだろう』
『…悪ぃなぁ…副ちゃん』

絵本を開いたまま立ちすくむシャンクスを包み込む様に後ろから抱き締め、ベンはシャンクスの目の辺りを大き過ぎる手で押さえる




繰り返し繰り返し沸き上がる歓喜と刹那の螺旋…それが自分が進む道
そうしてこれから先も航海は続くのだ

その度に…きっと思い出すのだろう


幼き頃の絵本の1ページを…

―終わり―



―【あとがき】―

いつもバカップルな副シャンしか書いて無いあちきですが(笑)たまにはシリアスにと出来た作品っす♪
海賊故の苦悩、そして船長だからこその苦渋の決断等、シャンクスやベンちゃんが抱える哀しみとかを書き出してみました♪



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