[携帯モード] [URL送信]

ゾロサン×サンゾロ
雨のち君


したん…したん


ぱららん…ぱららん


蜜柑の樹の下跳ね返る土の匂いを受け
ほのかに埃混じりの空気を残し
柔らかな雨音を奏でる雨模様な日

こんな日、他の連中ならやれ遊べねぇだの釣り出来ねぇだの云うが案外俺は好きだったりする

ランチの後片付けを済ませ静まり返ったキッチン、1人まったりヤニでも吹かしゃ外の雨音さえ楽しく感じ心地好い音色に早変わりする


筈だったのに…


筋トレ後にも関わらず酒をくれとぬかすクソ野郎が入って来た


クソ…台無しだ!


せっかくこれからのんびりレモンバームのハーブティーで一息着こうとしてたのに…奴は声にも出さず顎で酒をくれと催促し始めやがった

数少ないひとりの休息に茶々入れやがったんだ!酒なんかクソ出してやるもんか!

俺は無言で立ち上がりシンク横のローカウンターから作り置きして在ったレモンバームを取り出しティーポットの湯をカップに並々注ぐと有無を云わさず奴の目の前に差し出した

コイツの事だ…きっと酒じゃねぇだの飲めねぇだの反論し出すかと思いきや…俺の手から無言でカップを取りそのままハーブティーを飲み干した?!

『………フゥ』

一息着くと奴はカウンターの椅子に腰掛け…

『…足りねぇ』




何故か俺はその言葉を受けおかわりを八分目迄注ぎ入れると、自分のカップに半分残っていた残りを奴の真向かい側のカウンター内で飲み始める




したん…したん…


ぱららん…ぱららん…



2人きりの様な雨の音


水面に波紋を広げ繰り返し繰り返し水しぶきを上げては水下に消えて行く




したん…したん…


ぱららん…ぱららん…




同じハーブティーを飲みながら同じ休息を味わう午後の昼下がり

『……フゥ』
奴が幾度目かのため息を着き飲み干したカップを置いた時…

少しだけ…笑顔が溢れた様な気がして…








こんな時間も悪くない♪


そんな事を思っちまったのは…奴には内緒にしとくか♪

―終わり―

―――あとがき―――
何時もの日常、喧嘩ばかりだったり突っ掛かり合ってばかりなツンデレ過ぎな(笑)サンジ君だけど、たまには不意に感じる雨の音が響く空間でのまったりな一時みたいな感じが書きたくて出来た作品です♪

それと、この作品には対になってる『瑠璃色の花-愛を込めて』というのが有ります。
それはゾロ兄やんサイドのお話っす♪


[*前へ][次へ#]
[戻る]


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!