古高 俊太郎 B 紅葉が揺らめく京の修学旅行中ではあるものの今の時間は自由行動だった為、運命的な再会をした私と俊太郎さまはこれからの事を話す為に少し離れた喫茶店に向かっていた ちょっと前、此処に来る途中俊太郎さまの事で解った事がひとつ在る …私達の横を通り過ぎる女の子達の視線がやけに熱を帯びコソコソと『うわっ!アノ人凄いイケメン?!』等大概の女の子達が話してるのがうっすら聞こえてきたりしていた、それだけ端整で切れ長な瞳を持つ俊太郎さま そんな子達に少し口を曲げ胸がぐるぐるするけれど、俊太郎さまに対するその「イケメン」という単語を聞いて何だか不思議だけどかなりの違和感が生まれていたり… 俊太郎さまってイケメン?…ってゆうか何か不釣り合いだなぁ?…俊太郎さまはきっと… …………妖艶…って方が… そう思い横を歩いていた俊太郎さまを見上げてたら目が合ってしまって… 俊太郎『…クスッ…何でっしゃろう子猫はん?わての顔に何か付いとりますか?…それとも…わての唇が欲しい?』 園生『?!…なっ?!』 俊太郎『ハハ…園生の頬が紅を乗せはった位赤うなりましたえ…ほんにかいらしいお人や』 園生『なっ!……っ……』 俊太郎さまは大人の余裕で色香を振り撒き私を翻弄する 危ない色気と紡がれる甘い言霊は妖しさすら伺わせる程だ 園生『しゅ…俊太郎さまをみんな振り向いて噂してるなぁって…それだけ俊太郎さまが素敵な人なんだって事…………?!…っ!』 はずかしさに目線をさまよわせながらも女の子達の視線の意味を話しかけると、途端に肩をぐいっと俊太郎さまの方に強く引かれる 俊太郎『そないな事はおまへんよ…わてを見てはるゆうのなら、行き交う男達はなしてあんさんをあないな眼で見はるやろうか?』 園生『?………ッア?!』 確かにチラチラと此方を見やる視線の中には良く見ると男の人のも混じっていて… 「…あの女子高生…何かヤケに色っぽくねぇか?」 「ああ…ってかマジ可愛い!何かすげー抱き締めてみてぇんだけど?」 「ハア??阿呆…お前…隣に男いんだろうがよ?それに…あの男…何だか不思議だけど…やたら気高いオーラっつうか…?!…」 「?どうした?」 「…いや今あの男の方と目合っちまって…」 「??…何で男に見られてテメェまであの子みてぇに顔真っ赤にしてんだよ?………お前…ソッチもイケんのか?!」 「阿呆お前?!…女の子の唇見てたからだよ絶対!」 そんなやり取りが少し立ち止まった私達の耳に入り最後に聞こえた雑踏に思わず笑い声が漏れてしまう 園生『…ふふっ…ねぇ俊太郎さま?……今の男の人…私より俊太郎さまを見て顔を赤らめてましたよ?まるで私が俊太郎さまを見ている様に(笑)』 俊太郎『…それだけは堪忍しとくれやす』 私が背の高い俊太郎さまを覗き込みくすっと笑みを漏らすと俊太郎さまは眉尻を下げてほとほと困りきったように手のひらで額を覆った…だけどその後すぐ… 俊太郎『いけずせんといて…わてにその趣味はあらしまへんのや(笑)…それよりわては園生の唇に目をやりはった事が堪忍出来んのや…』 園生『…ッア?!』 覆っていた筈の手がいつの間にか私の口元に降りて来て、すらりと長い指先がこれでもかとゆう程の熱で唇をなぞりだす 人差し指が唇の形をゆっくり堪能するようにやわやわとなぞるその行動に、私はまた体中が熱く熱を帯びてしまう 俊太郎『この唇に触れてもええですか?…この真っ赤に憂う甘い唇に熱を移してもええですか?…そう懇願してええのはわてだけや…そうでっしゃろ園生?』 園生『!!…っ!…アッ……あの?!…』 熱過ぎる吐息が触れる距離に近づいた唇からは目まぐるしい熱を放つ言霊が放たれる 俊太郎『わては嫉妬してますのや…行き交う男達の視線や言葉に、その男達にあんさんの艶やかで果物のように赤く甘い唇をタダで見られるゆう事も……いっそ園生を何処かのお寺に押し込めてわて以外の輩の目に映らぬように…わて以外…触れられぬ様にと…』 園生『っ!…俊…太郎…さま』 甘くて濃厚な極上の黒蜜を舐め過ぎたかの様に口が痺れて喉が渇いて上手く声が出てこない 目の前に近づく淫美な俊太郎さまから目を離せず乾いた喉がゴクリと上下する 唇に在った指先は顎を捉え軽く上向きに持ち上げると同時に、ぐっと腰を引かれ確実に次に起こる行動が安易に予測がつく体勢 俊太郎『……園生』 園生『!……ッア…』 低くて艶の在る甘い声が私の全てを拘束する ピクリとも動けずこのままきっと…キス…をするんだろうと体が火照って汗ばみ真っ赤な顔で瞼を緩ませた… …………だけど… 園生(……あれ…??…な…何も…起きて…?) 瞑った瞼とは裏腹に予測していた筈の感触が一向に私の肌に起きないのを不思議に思い、そっと瞼を開けると… 俊太郎『…ほら…そない物欲しそうな艶やかなかいらしい瞳を見せんといておくれやす…その赤くてもっともっとと見る者を虜にする梅花の様な瞳をしてはったら…世界中の男達があんさんを奪いに来はる』 ゆるりと瞼を半分開けたとき本当に嫉妬にも似た情熱的過ぎる言葉にまたも体が縛り付けられる 眉尻を下げたまま汗ばむ肌を高揚させ赤らむ私の頬をやんわり撫で上げる俊太郎さま… その途端…私の頭の中は真っ白になってしまった 俊太郎『こんな罪作りな園生には…お仕置きが必要でっしゃろ…わてを狂わせた罰や』 そう言い放ち… 震える唇に熱い吐息と共に俊太郎さまの薄い唇が重なった ―続く― [*前へ][次へ#] [戻る] |