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古高 俊太郎
A

俊太郎『最初で最後の恋やと思うとった…けれど…またあんさんに恋が出来る、無垢な若者の様に…これを奇跡と言わず何というやろか』
園生『…っ!…俊…俊太郎…様…??』

…様?…何で?さんとかじゃなく様?

俊太郎『はは…なんと愛らしい事や、覚えてはら無くとも記憶は刻み込まれとるんやね』

偉い人かなのかな俊太郎様?でもどんな…

俊太郎『毘沙門堂』

毘沙門…天?…堂
?!

―古高に何かあったら私を恨め―
…有栖川宮様!

園生『家臣?!…っ?!』
俊太郎『園生?!どないしはりました?』

不確かな記憶のピースがガチャンと所定の位置にはまり込んだ途端、強烈な痛みが私の頭部を内側から襲った

園生『!…っ…頭が…痛っ!』
俊太郎『園生!大事ないどすか?大丈夫やさかい…急に思い出そうしたから混乱して頭痛が起こってしまったんやろう…ゆっくり思い出したったらええ…何が在ってもこの先は二度とあんさんと離れへんのやさかいに』
園生『ごめ…なさ…い…ごめ…っ…』

何が在っても…そういって俊太郎さまは私を優しく包み込んでくれた

優しく優しく撫でながら絶対に離さないと伝えてくれるように抱く腕を強めてくれる

その安堵感のおかげか徐々に私の頭痛は収まっていった




暫く抱き締められていた後、ふっといくら路地裏だからとはいえ此処が往来の場であるとゆう事を思い出した私は急に熱く抱擁されているこの状況に恥じらいを覚え、頼り無げに俊太郎さまの顔を見上げ声を発した

園生『すみません俊太郎さま…もう大丈夫ですから…あの…その…というか…私から最初は抱き…抱き付いたんですけど…人に見られてるし…その…』
俊太郎『はは…恥じらう潤んだ瞳も色が掛かってかいらしいでっせ』
園生『なっ?…だからもう離して貰っても…』
俊太郎『…もう二度と離されへんよ』
園生『!!』

私を見下ろすその瞳は、えもいわれぬ程の色香を纏い妖艶で、目眩を起こす程の低く甘い艶の在る声色が私の身体を鷲掴みにする

俊太郎『それとも…園生はわてから離れたい?』
園生『…っ!』

そんな表情で問われて私が離れたいなんて絶対云えないのを既に解っているのだろう…クスッと柔らかな笑みをこぼしながら首を傾げて顔を覗いてくる

俊太郎『わてはあんさんの従者やさかい(笑)園生の嫌がる事なんて出来しまへん…園生だけの言葉を聴き園生だけを見続けるよって…それでもわてから離れたい?』

園生『…い…意地悪です…よ…そんなの…あなたは私がそんな事云えないの…私より遥かに解ってるくせに…』
俊太郎『…フッ』

きっとこの人は記憶を無くした私よりずっとずっと私の事を知っているんだろう
私だけを甘やかしてくれ手放しに私だけを包んでくれていたんだと容易に理解出来る程…

俊太郎さまは私を愛してくれていたんだ…今も尚…私だけを…


―続く―


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