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古高 俊太郎
阿僧祇【現代-花END後】

『…ただいま園生』











抱いて抱かれた温もりよりも
恋い焦がれて流した熱い雫よりも
えぐられる程の引き裂かれた胸の痛みも
只…刹那に熱く焦がす魂は
時を超え反響した心を引き寄せ合い






阿僧祇の刹那を引きちぎり…那由多の愛を散りばめ二人の影を重ねる為に蘇る




園生『……っ!!』
俊太郎『あんさんの言霊が呼んではったんどす』
園生『…フッゥ…っかは!…ヒックッ!』
俊太郎『時代を見届け…結城はんのあのかめらで飛ばしてもろたあの瞬間…目の前が白い光に包まれた瞬間………狂おしい程わてを欲しがる園生はんの声色が響いてきはったんどす』
園生『ヒックッ…?!…し…俊…太…?!』

…俊太………郎…??…何で私この人の名前を??

何故だか解らない…
彼は私の物…私は彼の物?

何故こんなに胸が締め付けられるのか…何故こんなに目頭が熱く狂おしい程の涙が止め処なく流れでるのか…

でもこの人は私を知っている
私を呼んでいる
私が…愛おしくて…堪らないと…私の頭はこの人を知らないのに…

だけど私の体も…











…この人を呼んでいた




園生『ヒックッ…あの…私……あなたの事が…知りたいん…です…』
俊太郎『………?!!…… 園生はん?!わての事……』
園生『ごめ…なさい…あなたが誰で何処から来たのかも知らな…っ!…ヒックッ…知らないのに…さっきあなたを見つけた瞬間…あなたに包まれたくて…あ…あなたの腕に飛び込みたくて…ヒックッ!…気が付いたらあなたに駆け出してたんです…』
俊太郎『……っ!園生はん!』

その途端彼はさっきよりも強く私をその腕で抱き締めてくれた

俊太郎『はは…何や初めて出逢った時と同じに幼い子猫の様やおまへんか』
抱き締めたそのすらりと長い指先が頭を撫でる様に梳いてくれ、遠い記憶に刻まれた甘美な程の熱い震えが体中を駆け巡る
俊太郎『…そないに哀しまんでもいいさかい…まるでこないな事…』

私の耳元の髪を撫でながら彼は宝物を抱く様に孤を描きながら柔らかな口元で囁く

俊太郎『…まるで奇跡やおまへんか』
園生『?!!』
俊太郎『わてを知らないと云わはるあんさんなのに、その肌は…その瞳は…その唇は…わてを見つけて焦がれて…知りたいと追い掛けて来てくれはった…何処の誰とも知らぬこんなわてを求めて』
園生『…アッ…っ!』

私の体は知っている…
こんなにも熱を生み出す声を…言霊を…

園生『あ…あの!…』
俊太郎『へぇ何でっしゃろ?』

私は勢いよく背の高い彼の顔に目線を合わせ目線を捉えると、彼はクスッと柔らかく微笑んだ

園生『あなたの名前を教えて欲しいんです!!』

うろ覚えに頭の中でぐるぐる廻る俊太郎さんと云う名前…

俊太郎『先程下の名前は呼ばはりましたな………いや…初めてお会いするお方に失礼どしたな…』

……ドクン…

俊太郎『初めまして愛くるしい子猫はん、わての名は…』

……ドクン…

俊太郎『古高 俊太郎と申します』

……ドクンッ…

那由多の愛を散りばめて遠い二人に奇跡を落とす

満月の月夜に刻まれた約束を目印に

『丑の刻を刻むたび…何処に居てもわての魂をあんさんに飛ばして愛を囁きますよって』













そして私は2度目の恋に落ちる…


―続く―



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